この3月10日〜11日は出雲移住後初めて飛行機に乗り東京のGRF邸を訪問してきました。
GRFさんとは、私が東京で単身赴任生活をしていた際に発生した東北大震災の年の2011年12月に、当時取り組んでいたスピーカーの平行法セッティングを学ぶべく初めてご自宅を訪問した際に、最初に通された6畳の和室に置かれていたGerman Physiksユニコーンのキャビネットの美しさとともに、独特のチタニウム振動膜を持つDDDユニットから出てくる音楽に心を奪われた時の感動を、今でも鮮明に覚えています。

それから単身赴任を解消して大阪のマンションに戻り、数年経った2014年の年末のこと、当時は日本国内に代理店が無くなっていたうえに、精緻で美しいキャビネット製作の困難さから生産中止になっていたこのスピーカーを、GRFさんのご尽力で6組だけカスタムモデルとして限定生産されたうちの1組を、不思議な縁で我が家に迎え入れることが出来ました。
それから10年以上経ち、互いに情報交換や相互訪問を重ねてここまでやって来ました。

ユニコーンを駆動するアンプにはデジタルアンプのSD05を導入し、出雲移住後には磁気フローティング機構を持つオーディオラックを導入したり、Accuton製30ミリ径セラミックツイーターを導入したりと、常に念頭にあったのはGRF邸の和室のユニコーンに追い付く事でした。
しかしながら、私の右耳は現役の頃ストレスから発症したと思われる低音感応性難聴なのと、古希を迎えた加齢による聴力の低下もあって、最近は極低音域の聞き取りに自信を無くしかけていたのです。
そんな中で7年ぶりにGRF邸を訪問して、この長い期間の間様々な試行錯誤の積み重ねの上に進化を遂げられた、GRFのある部屋に鎮座するトロバドールシステムは勿論のこと、何より楽しみにしていたのは、和室のユニコーンとテレビの部屋にあるもうひと組のユニコーンを聴かせていただくことでした。
(GRF邸の写真はGRFさんのblogよりお借りしましました)


和室のユニコーンにはAccuton社のダイヤモンドツイーターが導入されているのですが、テレビの部屋ユニコーンは拙宅と同じセラミックツイーターで、駆動するアンプも同じSD05、テレビも同じREGZAの有機ELでという構成で、放送録画やベルリンフィルのデジタルコンサートホールを視聴するという、拙宅と部屋が違うだけというものです。
当日午前中は出雲も東京都内でも一時的に霙混じりの雪が降ったようですが、フライトは定刻通りに羽田に到着しました。
電車を乗り継ぎGRF邸の最寄駅近くにあるビジネスホテルのチェックインしたら、GRFさんに迎えに来ていただきA6アバントでご自宅に向かいます。
私のA4オールロードクワトロと同じエンジンとクワトロシステムを持つA6ですが、流石に車幅とホイールベース長がひと回り大きいので、道幅の狭い都心の住宅街での運転は大変そうですが、以前乗っていたシトロエンC5のように室内が広々していてシートもA4よりゆったりした幅があり、気持ちよさも最上でした。
先ずは和室のユニコーンから聴かせていただきます。
室内にはGRFさんが椅子による音の違いを散々実験されたその椅子が中央に置かれています。

レプリカとはいえオリジナルとほぼ同等の材質としっかりしたつくりの椅子は、隣に置かれた模造品とは明らかに違う堅牢さと機能美があり、欧州の標準の座面の高さも相まって、より音楽に対峙する姿勢を持たせてくれますね。
早速再生されたRCOLiveレーベルの録音を聴くと、コンセントヘボウのコンサートホールの2階席から見下ろすような感覚という前回の記憶から、更にステージに近くの空中に設置されたマイクの近くに浮遊して見下ろしているかのような、不思議な感覚になりました。
7年前からの記憶といっても、拙宅もユニコーンを使用してRCOLiveレーベルを聴けば、同じように2階席からステージを見下ろすような感覚は常に感じており比較対象になる感覚ですが、より演奏者に近付いたような感覚とともにホールの存在を感じ取れる暗騒音とよく言われる空気感も明瞭に感じ取れます。
そして、コントラバスのエンドピンを伝ってステージ床を震わすような低音とティンパニーの革の材質まで判る打撃音のリアルさも、私の到達レベルとは格段に差を見せ付けられました。
一体全体どうなっているのだろう?と注意深く見てみます。

この部屋の送り出し機器は、CDプレーヤーこそ30年以上前の機器ですが、DACは主にプロ用途で使用されているEmm LabのコンシューマーブランドとなるMeitner Ma-1で、しかも内部の回路基盤とソフトウエアがアップグレードされて、電源部構成を除きほぼEmm Labと同じものが使用されています。
Meitner Ma-1からの音楽信号を受け取るプリアンプはMolaMola、ユニコーンとダイヤモンドツイーターを駆動するパワーアンプは真空管の是枝アンプという構成です。
この機器構成はCDプレーヤーがSONYとEmm Labとの違いはありますが、GRFのある部屋の大規模なトロバドールシステムの相似形であり、再現される音楽の世界観もその延長線上にあるといえます。
実際に聴かせていただいた音楽には、空間表現のスケールの大小や、極低音域まで伸びる再生能力の差によるホールの空気感の濃密さの度合いの違いはありますが、テレビの部屋のDAC兼プリメインアンプのSD051台だけというシンプルなシステム構成に比べると、当然ながら圧倒的な音楽表現のレベルの差を感じ取れました。
現在の和室のユニコーン+ダイヤモンドツイーターのシステムから再生される音楽は、私の現在到達点からは圧倒的に引き離されている感があり、特に2つの大きな違いを挙げるとすれば、1つにはユニコーンが鳴っているとは到底思えない極低音域まで伸びる音が、それもただ単に鳴っているのではなくリアリティある楽器の音として聞こえるのです。
そしてもう1つとは、中高音域の音色に血の通った暖かみを感じ取れたことで、これは、この後聴かせていただいたテレビの部屋のSD05で鳴らすユニコーンから聞こえる抑制的というかクールな音楽表現とは明らかに違い、このテレビの部屋で鳴る音楽は、現在拙宅で再現できている音楽表現とほぼ相似な音色に感じ取れました。
このように、GRF邸の現在の和室で聴ける音楽は、GRFのある部屋で鳴らされているトロバドールシステムの延長線上にあり、圧倒的な高みを見せてくれる空間表現と音楽表現をたった6畳という和室のサイズで聴かせてくれる、大多数の音楽愛好家やオーディオ愛好家にとっても、やり方次第では可能であり、私にとっても取り組みの奮起を強く促す程の素晴らしいものでした。
最初の方に書きましたが、私の右耳は低音感応性難聴に加齢による聴力の低下や耳鳴りということあって、最近は、トントンコツコツのユニコーン位置調整への取り組みの過程でも、心の中では本当に今の自分には極低音域の聞き取りが出来るのか?と自信を無くしかけていたのです
しかし今回の訪問で何より驚いたのは、和室のユニコーンから聞こえる極低音域が、私の耳でもちゃんと聞こえること。
ここ数年は私のユニコーンでもセラミックツイーターで極低音域とリアリティのレベルを上げる取り組みをしていましたが、低音感応性難聴のせいで実際は出ているのに聞こえなくなっているのでは?という心配をしていましたが、それは杞憂に終わり喜んだ反面、私のシステムではまだ道半ば
だということを厳然と突きつけられました。
でも和室の次に通されたテレビの部屋のセラミックツイーターシステムの方は、アンプもSD05で同じこともあり、出ている音の水準は拙宅でも達成出来ていることを確認出来ましたので、取り組んできた調整方法に誤りはなかったことも確認出来たのは心強いことです。
奥様が心を込めて煮込んでいただいた温かいポトフと、よく冷えたシチリア産の白ワインが進み、録画されたN響の演奏やベルリンフィルデジタルコンサートホールの演奏などは拙宅とほぼ同じアーカイブなので、SD05で駆動するセラミックツイーター付きユニコーンの音楽は、拙宅で聞き慣れた音質のもので安心して聴きながら過ごすことが出来ました。
初日はこれでお開きになり、翌朝はホテルで朝食を摂った後に再びGRF邸に伺い、今度はGRFのある部屋でトロバドールシステムをCD音源と光カートリッジを使ったレコード演奏を堪能させていただきました。



このシステムにはダイヤモンドツイーターは使用されていませんが、和室のユニコーンがDDDユニット1対に対して、トロバドール80は2対と倍になり当然音圧も高いのと、極低音域を受け持つスーパーウーファーシステムや、後方に設置されたトロバドール40とスーパーウーファーシステムもあって30畳近い音楽室を音楽で満たすので、ダイヤモンドツイーターは不要だとのことでした。
再生していただく音楽はどれも、等身大や原寸の演奏家やコンサートホールをありのままに再現しているように感じ取れ、和室のユニコーンと同じ延長線上にあるとはいえども、6畳と30畳のサイズの差から生まれるスケールの差は圧倒的で、実物のコンサートホールで聴く演奏家のリサイタルやオーケストラ演奏を眼前に呼び出してくる感覚がいちばん近いのかも知れませんね。
これは一朝一夕の努力で到達出来るものではなく、今までGRFさんが取り組まれてきた努力と実験の成果がここに結実しているのだと、強く思いました。
なので、今回のGRF邸訪問で奮起を促された私としては、和室のユニコーンにどれだけ近づけるか?どうやって近づくのか?ということが当面の課題になります。
どういう道筋で取り組むのかを考えた時、トントンコツコツの微調整の精度を上げる取り組みは勿論ですが、和室のユニコーンシステムに有って雪宅にないものといえば、SD05には無い音の色気や密度の濃さで、テレビの部屋に無くて和室とGRFの部屋に共通に有るEmm Lab(Meitner)のDACの音楽表現への働きではないかとの考察に至りました。
私が使用しているSD05はデジタル入力をS-Master半導体でダイレクトにスピーカー駆動電流を生み出すのが特徴で、私はその機能を最大限に活かすべく全ての音楽ソースをデジタル入力して再生しているのですが、GRFさんからの情報ではSD05のアナログ入力でも、内部に搭載されているA/Dコンバーターの性能がとても優秀なので、SD05に優秀なDACを介してアナログ入力するという考え方も有るなと思い至りました。

つまり、現在全ての音楽ソース送り出し機器をSD05のデジタル入力としているのを、Emm Lab(Meitner)のDACを介してアナログ出力をSD05に入力するというものです。
私の音楽ソースは、CDプレーヤーとFMチューナーからデジタル同軸2系統、HDDプレーヤーからのデジタルUSB出力をDDコンバーターを介してデジタル同軸に変換、TVから光デジタルという4系統ですが、Emm Lab(Meitner)は、この4系統のデジタル入力を全て受けることが出来るので、このピースをどうやって埋めるのかが今後の取り組みの1つになりそうです。
そして、私の耳でも極低音域まで伸びる再生音を問題なく聞き取れる能力が有るという自信を取り戻せたお陰で、気持ちも新たにトントンコツコツの位置調整に取り組み、更なる高みへ到達する行動を促すモチベーションも持つことが出来ました。
長くなりましたが、久しぶりのGRF邸訪問で自身の聴力に再び自信を取り戻したと同時に、新たな挑戦に取り組む意欲を取り戻したという報告です。
GRFさん、2日間にわたりありがとうございました。
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