ケーブルを換える
小生が単身赴任で暮らしているワンルームから十数分足らずのところに住んでいるY氏とは、出水電気主催の韮崎、蓼科オーディオツアーで同行し、意気投合したオーディオ仲間である。
研究熱心なY氏のシステムが奏でる音楽は、色彩豊かで、音の輪郭や陰影もくっきり描き出すが、過剰な演出感は微塵も感じさせない素晴らしいものである。
前置きが長くなったが、そのY氏から教えてもらったベルデンのRCAケーブル8412とSPケーブル8470(16GA)がこれ。
これはインターネットのYahoo!オークションサイトに出品している井上氏が売り出しているプロ用のケーブルである。
井上氏のサイトで購入すると、このケーブル類の説明文がいかにも自信たっぷりに、このように付いて来る。
ベルデン8412を使われるかたへ
この度は、プロ用ベルデン8412を購入していただきましてありがとうございます。世界的業界スタンダード、音の標準です。プラグは、スイスの純プロ用プラグメーカー、ノイトリック社のRCAプラグです。まず、ケーブルのプロ用と民生用についてです。どの業界でも、プロ用と民生用とでは、値段がまるで違います。プロ用のほうが、常にとても高価です。ところが、音楽機材については、ケーブルもそうですが、逆の現象が起きています。プロ用が安く民生用が高価です。このことは、民生用のほうが良いということには、勿論、なりません。他の業界の商品と同じで、プロ用のほうが、圧倒的に品質が良いものです。
8412は、プロ用です。いくら高価なケーブルであろうが、それが5万円であろうが7万円であろうが、30万円であろうが、その値段設定がおかしいのであって、(オーディオの世界は、特殊で、そういう世界です)、民生用がプロ用に勝るということは、どの世界でも同じです。あり得ません。値段による判断は、一切除外して下さい。
世界のハイエンドケーブル
ベルデン(米国)バイタル(英国)カナレ(日本)モガミ(日本)
以上の四社だけが、ケーブルのハイエンド・ケーブル・メーカーです。私とヤマハのスタッフのかたが知る限り、これ以外にはプロの使用に耐えるハイエンドのものは、世界に存在しません。
カナレとモガミの違い
カナレとモガミは似ています。非常に似ていますが、少し違います。モガミは、ハイが上がります。カナレはハイが落ちます。それは、少しだけの微々たる差で、どちらも非常に優秀です。具体的には、カナレを使った場合、長くなればなるほど、高域を押さえますから、その分高域の上昇するスピーカーケーブルなどが、長めに使えます。相殺してくれます。
モガミを使った場合には、ほんの少しハイが上昇しますが、フラットに近いです。近いですが、高域が強く感じられることもあると思います。しかし、最もフラットに近いものでは、あります。
ここで、重要なのは、アナログケーブルは、全て(プロ用も)、長さによって、音が変わるという点です。これを踏まえたうえで、セッティングする必要があります。短ければよいというものでは、ありません。短いほうが良いとされているのは、オーディオ業界の、高額なケーブルだけの話であり、クセのあるケーブルが多すぎるがゆえ、短く使ったほうが、クセが、比較的出にくいからに他なりません。
プロ用は、民生用ほどのクセを持ちませんが、ケーブルによって、音は違います。ケーブルの国籍によって音が違うというのが、正確な表現です。それと、ケーブルの長さによる違いが生まれます。柔らかい音のケーブルを長めに使えば、よりいっそう、音は柔らかくなりますので、どこか別のところで硬い音のケーブルを使って、プラスマイナスゼロとし、フラットに持ち込みます。これが、セッティングです。
RCAプラグ
次に、RCAプラグについてです。ノイトリックは、世界的なプロ用スタンダードのプラグメーカーです。その信頼性は抜群の領域です。今までは、バランスプラグしか入手できませんでしたが、とうとうノイトリックの
RCAが入手できるようになりましたので、ノイトリックを使わせていただいております。
ノイトリックは、ほとんどのスタジオや放送局がそうでしょう。必ず入れています。それは、日本のみならず、世界中そうです。
ノイトリックのプラグは、ケーブルの音をそのまま転送するプラグです。クセがまるでありません。音を変化させないという特性は、優れたプロ用ケーブルの持つ能力を、極限まで引き出してくれます。他のRCAプラグでは、8412の底力は、おそらく引き出せません。
スピーカー・ケーブル
スピーカーケーブルは、最後の難関です。そこを間違うと、それまでが正しくとも、何にもなりません。悪さが出てしまいます。数万円のものより赤黒のほうが、よりフラットです。赤黒ケーブルが完成しているとは、間違っても言いませんが、高級ケーブルの持つクセよりは、安い赤黒ケーブルのほうが、ずいぶんと、ましです。WEやベルデンは、勿論、完成しています。
スピーカーケーブルは、用途によって様々な太さのものが使われることもあって、業界標準がないがゆえ、マイクケーブル(インターコネクト)より選択が難しいです。
距離、アンプのインピーダンス、スピーカーの能率、これらを総合的に判断したうえで、太さを選ばなければなりません。しかし、だいたいです。だいたい、自宅使用、5メートル以内でしたら、16GAで十分です。10ワット以上出されているかたは、まれでしょう。100ワット出すより10分の一の太さで済むと考えれば、分かりやすいです。
なお、太すぎるスピーカーケーブルは弊害になります。しかし音は、電源環境によって、非常に大きく左右されます。14GAでも、200ボルト電源、アイソレーション電源などを利用されているかたの場合には、2m以下でもぴったり合う可能性を持ちます。
WEの14GAも出しておりますが、14GAのメッキ線材というのは、通常は、4mから5mあたりから10m少々、そのあたりで、本来のシャープで生々しい音が、出てくるはずのケーブルになります。その長さでの用途には、絶対のフラット、非常に生々しい音を出してくるはずのケーブルですので、両距離には非常に向いています。
又は、200ボルトなどを引いておられたり、アイソレーション電源などを導入されておられるかたは、音がシャープになりすぎる傾向があります。電源は良くなればなるほど、くもりが取れて、音がシャープになります。
理想的電源環境の場合には、14GAのほうが短距離でも合うと思われますし、地域によって、理想的電源が来ている地域は、太いほうが合います。
このように、一概に言えないのが実態ですので、音をまず最初に聞かれて、さらにシャープな音を求められるのでしたら、細いものをお使いください。
ただ、最近のSPは、コストダウンが激しく、能率の低さ、インピーダンスの低さと重なっており、80db近い能率で、インピーダンス4Ωというほど、コストダウンが激しくなされていた場合には、14GAしか、選択肢がありません。
選択するときの要素は二つあります。二つあることが、出品では、説明が長くなりすぎて、説明しきれない部分です。
1)音的な判断による、適正、16GAか14GAか、ということと、
2)電気的な適正、です。
昔は、電気的適正は、SPが高性能であったため、考える必要がありませんでした。最近のコストダウンされているSPが、特に問題です。
さてこのケーブルを使っているY氏に刺激を受けた小生は、これを大阪のシステムに使うために購入した。
使った感想は今度書くことにしよう。
≪ 2004年11月27日補記 ≫
さて、自宅で使った印象ですが、音像が広がり奥行きと高さの表現が豊かになったと感じます。
それでいてフォーカスもしっかりしていて、スピーカーの向きを僅かに調整しただけでも変化が判るため、調整が容易にできます。
逆に言えばより敏感になったため、リスニングポイントが小さくなり、家族で音楽を楽しむときに座る位置が難しくなりました。
この辺りはホームオーディオとして大人数で楽しむ場合は使いこなしが難しいと感じます。
音質ですが既に、聴感上音域のエネルギーバランスが高域に寄ったように感じます。
しかし、チェックCDで正弦波を使って低周波数から高周波数までのチェックをすると、意外にも低域がしっかり出ていて高域にピークがあるようには聴こえませんでした。
ただ、倍音成分に当たる超高域の伸びは確かに感じましたので、これが音像の広がりに寄与しているのでしょう。
いずれにしろ、今まで使っていたCDP~アンプ間のアキュフェーズRCAケーブル、アンプ~SP間のヴァンデンハル(VDH-T4)が甘目だったので、インシュレータ類での調整が取れていたのでしょう。
CDPとアンプのインシュレータを取り払い、オリジナルに戻した状態で高域が変に突っ張った感じが取れました。
これから当分はこの状態で聴き込んでいくつもり、チューニングについては今度行う専用電源工事が終わってからじっくり取り組みましょう。
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