「出水電器伊豆試聴室」訪問記
3月14日。品川から新幹線で熱海方面に向かう。
西蒲田から伊豆半島にある別荘地に引越しした出水電器水の試聴室を訪ねた。
小生は西蒲田に試聴室があった関係で度々遊びに出かけて、そのアンプの実力や電源工事の効果を確認した上で、大阪自宅の電源工事をはじめ、 FASTブランドのセパレートアンプC10Ⅱ、 M300を購入した訳だが、今年になって新しいアリオンブランドのプリメインアンプを発表して、大変な高い評価を得ている。
アリオンは電源平滑回路に出川式電源を採用したのが特徴で、 試聴したユーザーから価格帯を超越した驚きとも言える高い評価が続出して、試聴用の貸出機を急遽増やした程だというから、 これは聴いてみなければなるまいと、島元社長のお誘いもあって出かけたと言うわけだ。
因みに出川式電源とは何かについては、ネット上には色々検索できるのだが、 小生としては既にこの電源回路を搭載したアンプなどを発売して評価を得ているこのサイト参考にしていただきたい。
品川から新幹線を乗り継いで丁度1時間の午後1時過ぎ、熱海で東海道線の函南(かんなみ)に到着し、 駅まで迎えに来ていただいた島元社長の車で、試聴室のある伊豆高原の別荘地に向う。
どんどん高度を上げていってとても広大な景色が楽しめる場所にその別荘はあった。 知人の別荘だという試聴室は西蒲田時代に比べて格段に広く、 なおかつ試聴室専用のトランスからの電源供給された200ボルトと100ボルトのオーディオ専用電源が引かれている。
西蒲田で聴かせていただいていた200ボルト仕様のFASTアンプのフラッグシップC100とM600、 そして100ボルト仕様のアリオンT-100が電源を入れられた状態で試聴を待っていたので、 早速アリオンで持ち込んだCDを10数枚テーブルに並べて聴かせていただく。
音楽が鳴り出した瞬間、雄大で立体的な音響空間がそこに現れたのには驚いた。
それは西蒲田時代とは一線を画した静かな住環境と、専用のトランスによる安定した電源環境、 リスニング側に上り広がりをもっている片屋根構造の試聴室の音響環境の良さなど、アンプ以外のファクターも大きくあるとは思うが、 それにしても、英国の誇る英国教会の名前を冠した巨大なタンノイ・ウエストミンスター・ ロイヤルを朗々と慣らしているアリオンT-100の実力も大したものである。
JAZZピアノ、ヴォーカル、オーケストラ、室内楽などジャンルを問わずかけ続けたCDの全てから、 音楽性豊かで血の通った音楽が奏でられ、しかも、ジャンルによっては詰まったり、 破綻したりというオーディオで良くある悩みが感じられないのだから、小生も一瞬「買った!」と叫んでしまうところであったが、 小生の訪問の目的は、実は別のところにあったのである(^^ゞ
一通りCDを聴かせていただき、100ボルト仕様のT-100の音を耳に刻み込んでから、 200ボルト仕様のFASTC100とM600の組み合わせで、 再び同じCDを聴き始めた。
アリオンとFASTの2ブランド。
島元社長がそれぞれをどのような思いと情熱で育て上げ、世に送り出したのか、 これは比試聴でしか明らかにならないほどの僅かな違いであるが、それはオーディオを良し悪しで楽しむのではなく、 音楽性の違いを個性として楽しむためにこの2ブランドがあるのだと、小生は思ったのである。
FASTで聴き始めて直ぐ、アリオンに有ってFASTに無いものはないが、FASTに有ってアリオンには無いものを感じた。
それは、しなやかさとエネルギー。
一見、相反するように思えるこの感覚がFASTには有ったのだ。
出川式電源を搭載したT-100の定格出力が100ワット、M600がモノラル仕様の600ワットと、 カタログ数値では圧倒的な物量の差があっても、T-100がひ弱な訳ではないことは最初の試聴で十分に感じたし、 FASTに切り替えた時には、高域についてはT-100の方が伸びやかさを感じたほどだ。
暫くして島元社長が、200ボルト仕様出川式電源のアリオンに切り替えてくれた。 これはアリオンが出水電気の直販体制であるから対応できることかもしれないが、料金を支払えば200ボルト仕様に変更可能で、 実に大半がこの200ボルト仕様で売れているという話である。
200ボルト仕様が使える環境は、電源環境も200ボルトが引かれていることが前提だが、 小生の自宅も島元社長の専用電源で200ボルトにも対応できるようにしてある。
聴き始めて直ぐに、FASTに有って100ボルト仕様のアリオンには無かったものが感じられたので、 これは100ボルト仕様と200ボルト仕様の差なのだと理解した。
これこそが、本日の小生が訪問した真の目的である。
FASTのセパレートアンプC10Ⅱ、 M300は100ボルト仕様であるが、これを200ボルト仕様出川式電源への改造を申し込むことに決めた。 100ボルト仕様のアリオンを聴いただけでは、出川式電源への改造だけで十分かとも思ったが、200ボルト仕様のアリオンを聴いた後では、 この選択に迷いは生じなかった。
さて、今後どのようになるのか、出来上がりが4月後半になるので、場合によっては島元社長に大阪の自宅に立ち寄っていただき、 電源の200ボルト化をお願いすることになるので、今から楽しみである。
帰りはJR熱海駅まで送っていただき、帰宅した。
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