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2010/09/27

東京交響楽団第27回川崎定期演奏会

20101026muza1台風一過で秋晴れとなった日曜日の昼下がり。
昨夜の西蒲田でオーディオイベントを楽しんだ翌日はコンサートとばかりにミューザ川崎シンフォニーホールに出かけた。
20101026muza2今日も当日券を手に入れるため、開演1時間半前に到着したので、ホールへ続くエントランスにはまだ人はまばらだ。
20101026muza3今日は今年36回目のコンサート。
久しぶりにプロ・オーケストラの定期演奏会、東京交響楽団の第27回川崎定期演奏会だ。
20101026muza4首尾よく当日券を購入し、13時30分の開場と同時にホール内へ入る。
今日はP席の前から3列目ほぼ中央の席にしたが、それにはわけがある。
今日演奏される曲にはパイプオルガンが使われるのだ。
普段は遠くに見えるパイプオルガンの音を間近で聴いてみたい。
そう思ってP席にしたのだが、実はこの席はチケットも2000円と一番安いのだ。
ステージ横の席がA席で6000円もするのに対して、P席の2千円は本当にお得な席だと思う。
20101026muza5今日の指揮者はアメリカ生まれの若手指揮者ベンジャミン・シュワルツ
バイオリン独奏は、台湾生まれの気鋭のバイオリニスト胡乃元(ナイユアン・フー)である。
演奏曲目は、グリンカ作曲:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲、メンデルスゾーン作曲:ヴァイオリン協奏曲ニ短調、休憩をはさんでチャイコフスキー作曲:交響曲「マンフレッド」作品58(バイロンの劇的詩による4つの音画の交響曲)。
20101026muza6指揮者のベンジャミン・シュワルツは長身で細身の体躯にウェーブのかかったカーリーヘアーをなびかせ、颯爽とステージに現われた。
最初の歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲は、弦楽器と管楽器の対比と特徴的なティンパニの連打が華やかな曲で、P席からは彼の指揮ぶりがよく見える。
タクトさばきはメリハリがあり、全身を使ったオケへの指示は的確でツボを得ており、はじめて東京交響楽団を指揮するとはとても思えないほど堂々としている。
コンサートマスターはもとより、弦パートトップ、管トップとの呼吸もぴったり合って小気味良い爽やかな演奏を聴かせてくれたので、演奏終了時には序曲では珍しく3度もステージに呼ばれるほど拍手が鳴り止まないほどであった。
20101026muza72曲目に演奏されたメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ニ短調は弦楽5部とバイオリン独奏の曲で、メンデルスゾーンが13歳のときに作曲したもので、傑作として名高いバイオリン協奏曲ホ短調と比べると、明らかにバロック様式に則って作曲されたことがわかる。
独奏のナイユアン・フーは黒いスタンドカラーのスーツに身を包んで静かに現われた。
伴奏の弦楽5部は、1st&2ndVnが3プルト、Va&Vcが2プルト、Dbが1プルトという室内楽風小編成。
独奏者を後から見ることになるが、ここミューザの音響が良いためにP席でも音が痩せてしまうことはなく、1階正面ほどではないが2階席中央ほどの音量で聴くことができた。

冒頭から味わい深く滋味のある音色で存在感を示すナイユアン・フーのバイオリン演奏を、ピリオド奏法ではないがビブラートを極力抑えて透明感のあるアンサンブルを聞かせる弦楽合奏が支える。
独奏者とオケが丁々発止という緊張感ある演奏とは一味違い、互いに慈しみあい支えあう信頼感が聴く側にも伝わってくる。
ナイユアン・フーのバイオリンは決して刺激的な音を立てずあくまで安らかなため、P席側から客席を見るとあちこちで居眠りをする人の姿が・・・・・でも、退屈な演奏ではなかった証拠に演奏が終わると万雷の拍手でアンコール曲を2曲も弾いてくれた。(パガニーニ作曲:24のカプリスよりNo.21、バッハ作曲:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番よりアルマンド)
20101026muza8休憩をはさんでメインのチャイコフスキー作曲の交響曲「マンフレッド」は表題音楽としての性格が強い曲で、全曲を通じてバイロン卿が描いたマンフレッドの動機が随所に現われて、この幻想的で悲劇的な交響曲の性格を現している。

チャイコフスキーの番号つき交響曲とは随分趣が異なるこの曲だが、指揮者のベンジャミン・シュワルツは、総譜こそ指揮台に広げてはいるが、おそらくほとんど暗記で指揮をしたと思えるほど集中した指揮ぶりで、随所で的確な指示を出して、オケと指揮者が一体となって一糸乱れぬ演奏を披露し、アンサンブルも精緻で透明感がある響きを聞かせてくれた。
そのオケの集中ぶりが聴いている小生にも乗り移り、指揮者の動きにつれてついつい体が動くほど。
第1楽章から短調の悲劇的な動機が続いた最終楽章のクライマックスで、曲が突然ハ長調に転調しパイプオルガンが鳴り響いた瞬間、体に電流が走りその恍惚感に思わず涙が零れ落ちてしまうほど深い感動を味わうことができた。
20101026muza9久しぶりのプロオケの定期演奏会だったが、これほど感情移入できた演奏会も珍しく、演奏会が終わっても何度もステージに呼び出される指揮者のベンジャミン・シュワルツ。
次回、彼のタクトで演奏会をまた聴きに来たい。
そう思わせる素晴しい演奏会であった。

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