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2012/11/26

ツィメルマン・ピアノリサイタル(兵庫県立芸術文化センター)

P101054611月25日の兵庫県立芸術文化センターで開催されたツィメルマンのピアノリサイタル。
ツィメルマンはポーランド生まれ。
1975年にショパン国際ピアノコンクールに史上最年少の18歳で優勝して以来、数々のオケとの競演やリサイタルをこなしている、小生とはいわば同世代のピアニストである。
2010年のショパンイヤーの際には日本でオールショパンプログラムでツァーを行ったのだが、その時は日程が合わず聴きにいくことができなかった。

そんなわけで、今回のリサイタルは大変楽しみにしていたコンサートだった。

プログラムは当初のオール・ドビュッシーから変更されていた。
先ずは、ドビュッシー:版画から
1.パゴダ
2.グラナダの夕べ
3.雨の庭
ドビュッシー:前奏曲集 第1集より
2. 帆
12.吟遊詩人
6. 雪の上の足跡
8. 亜麻色の髪の乙女
10.沈める寺
7. 西風の見たもの
休憩を挟んで
シマノフスキ:3 つの前奏曲(「9つの前奏曲 作品1」より)
最後に
ブラームス:ピアノ・ソナタ 第2番 嬰へ短調 作品 2
4241011317_20120701154549リサイタルに先立ち、異例なことにツィメルマンからのメッセージが読み上げられた。
それによると、最近の演奏会において、客席での違法な行為による録音録画がなされ、しかも、それがユーチューブに投稿されて、世界中に発信されたという。
詳しい理由の説明はなかったが、そのことによりツィメルマンは契約先(レーベル?)から契約違反があったとして契約打切りの通告を受け、違法行為を行った投稿者と契約先との3者での訴訟問題を抱えていることが明らかにされた。
最後に「演奏家が安心して演奏活動ができる環境が守られるよう、聴衆の皆様のご協力をお願いします」と、メッセージは締めくくられた。

昨今のデジタル電子機器の進歩により、大げさな機器を持ち込まなくても、それこそiPhonひとつで鮮明な画像と音声が、ネットに簡単に投稿できる時代になっているからこそ、今まで考えられなかったような問題が発生しているのだろうが、このような問題が演奏会場の裏で起こっているから、演奏家の肖像権に配慮した開演前や終了後の場内撮影さえ、厳しく取り締まられる窮屈な時代になったのだと改めて考えさせられる出来事だった。
P1010547さて、肝心の演奏会であるが、黒のタキシードを身にまとったツィメルマンがステージに現れると、「追っかけ」らしきファンが両手を高々と上げて拍手をする姿があった。
日本にも活動拠点を設けて頻繁に来日公演をしている成果があるのだろう。

ピアノ上に演奏曲目の楽譜を広げ、助手を置かず自身でめくりながら演奏に没頭する姿。
音色は透明でありがながら温かみがあり、ドビュッシーの複雑な音楽構成を音符の一つ一つに意味があるかのように弾きわけていく。
先日ダン・タイ・ソンがアンコールで弾いたドビュッシーとはまったく違う、骨格がしっかりした演奏である。

その印象は、後半のプログラム、シマノフスキとブラームスでより鮮明になった。
ショパンを弾き振りしたピアコンの録音が素晴らしかったが、ブラームスをこれだけ深く滋味深く聴かせてくれるとは。
新たな発見を強く印象付けた演奏会であった。
今度はシューマンを弾くのを聞いてみたい。
そう思いながら、クリスマスイルミネーションに輝く会場を後にした。

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学生の頃に戻って

P1010493この3連休は、大学時代の気の置けない仲間たちとの同窓旅行。
京都駅で集合し、車で一路丹波路へ。
P1010494出石蕎麦を堪能したあとは、福知山温泉で一汗流す。
P1010504翌日は天橋立を観光。
P1010508伊根の船屋を海上タクシーで観光。
P1010510
Dscf1518養殖ながら丸々と脂の乗った寒ブリを仕入れてブリしゃぶ、刺身、アラ塩焼き、ズケ丼と味わい尽くす。
P1010511伊根では女性杜氏が造る日本酒蔵元を訪問。
P1010513早朝から大江山に上って雄大な雲海とご来光を拝し、心を洗われる体験をしました。
P1010533泊まりは同窓生が一人で建てたログハウス。
P1010540薪ストーブが暖かい。
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P1010543
P1010542浮世をしばし忘れて、学生時代に戻った2泊3日の旅でした。

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2012/11/19

兵庫芸術文化センター管弦楽団第56回定期演奏会

P1010478今日は11月3日の文化の日で祝日。
兵庫芸術文化センター管弦楽団の2012-13シーズン定期演奏会も3回目となり、今日は井上道義を指揮者に、Vn独奏に1974年生まれのモルドヴァ出身の天才、パトリツィア・コパチンスカヤを迎えたオール・プロコフィエフ・プログラム。
P1010479座席は、2012-2013シーズンの通し券なので、毎回この席に座る。
3回目ともなると、同じ顔ぶれが少しずつ分かるようになる。
P1010481今日の曲目は、バレエ音楽「ロメオとジュリエット」 op.64 より、コパチンスカヤのヴァイオリン独奏で、ヴァイオリン協奏曲 第2番 ト短調 op.63。
休憩をはさんだメインは、交響曲 第7番 嬰ハ短調 op.131。
P1010482井上道義の指揮は堂に入ったもので、新メンバーになって3回目の定期演奏会ともなれば、PACオーケストラの息も合ってきてロミオとジュリエットを見事に演奏したものだから、1曲目にもかかわらず演奏が終わると拍手で、指揮者の井上道義をカーテンコールで呼び出すほど。
次の曲への期待がいやでも高まってきた。
Kopaパトリツィア・コパチンスカヤは、1977年モルドヴァ生まれで今年35歳になる。
自由奔放な演奏スタイルが魅力のヴァイオリニストという前評判どおり、朱色のインド風更紗の衣装に身を包み、銀ラメのスリッパに素足というスタイルで現れた途端に、周囲の空気がガラッと変わるのが判った。
やおらスリッパを脱ぎ捨て裸足になり、手に持ったハンカチをサッと投げ捨てて演奏に入った。
その演奏は自由奔放そのもので、時には弦も切れよとばかりに激しくピチカートを奏で、時には弱音器を装着して今にも息絶えそうなほどの憂いを自在に表現していく。
聴き応えのあるヴァイオリン協奏曲であった。
P1010483鳴り止まぬ拍手とカーテンコールで、アンコールで弾いたアルゼンチンのピアソラ:タンゴエチュード№3、そしてサンチェス=チョン:クリンが、PACのヴァイオリンメンバー全員までが拍手喝采するほどの素晴らしい演奏だった。
P1010485さて、休憩を挟んでメインの第7交響曲は、プロコフィエフのシンフォニーの中でも名曲中の名曲だが、何故か名曲コンサートなどでは演奏される機会がなかなかない。
このような定期演奏会を通しで買っているからこそ聴く機会が持てたと感謝。
この曲は管楽器や打楽器群がそれぞれ大活躍して、ソロの技量もあからさまにする演奏者にとってもやりがいのある曲で、若手音楽家育成の意味合いが強いPACオケにはうってつけであろう。
P1010486午後3時に始まった演奏会も、今日は5時半を回るほど演奏時間が長かったが、そんなことをまったく感じさせないほど充実した演奏会であった。

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2012/11/10

PAC管弦楽団第55回定期演奏会

P101047211月3日の午後、阪急西宮北口にある兵庫県立芸術文化センターにやってきた。
今日はPAC管弦楽団の今シーズン2回目の定期演奏会。
第55回定期演奏会のお題はオール・ベートーヴェン・プログラム。

ブラジル生まれのヴァイオリニストにして指揮者のクラウディオ・クルスは、指揮者としても北米南米のオケで数々ののキャリアを積んでいる。
そしてベトナム・ハノイ生まれで1980年にアジア人として初めてショパン国際ピアノ・コンクールに優勝した世界的ピアニストのダン・タイ・ソンが、日本公演で初めて弾くというベートーヴェンのピアノコンチェルトが話題となったコンサートだ。

曲目は、劇音楽「シュテファン王」序曲 op.117、ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 op.73 「皇帝」、交響曲 第7番 イ長調 op.92 というもの。

シュテファン王は演奏される機会のなかなかない曲で、小生も演奏会で聴くのは初めてだったが、ベートーヴェンの序曲の中でも、エグモントほど重厚で悲劇的ではなく、どちらかといえば祝祭的な響きのする曲という印象を持った。

今シーズン2回目となる演奏会であり、新たに入替わった演奏者達も馴染んでアンサンブルがグッと引き締まったように感じたが、コンマスの豊嶋氏の存在が大きいようにも思える。
常設オケとはいいながら、若手演奏家にオケでの経験と研鑽を積ますというアカデミックな要素が強いPACだけに、コンマスをはじめ、各パートに座る客演トップ奏者の指導に皆が付いて行くといった演奏スタイルなのだろう。
それは、今回の指揮者クルス氏のタクトさばきにも現れているようだ。

2曲目の皇帝は、出端から快速で始まり、ダン・タイ・ソンの明るく煌びやかな音色がホールに充満する。
とても柔らかなタッチを持ち、ロマンチックなショパンで名を馳せた彼自身が、いよいよ古典のベートーヴェンを本格的に手がけるようになったので、益々演奏の幅が広がってくような期待が持てる演奏である。

特に素晴らしかったのは2楽章。
1楽章とはうってかわり悠々と流れるように流れるメロディに寄り添うようなオケの木管パート。
指揮者が思わず微笑を浮かべながらピアニストを見下ろす様が客席からも見て取れた。
終楽章は再び快速ベートーヴェンに戻り、最後はやや疲れたかに見えたが、遅れそうになるピアノをそっとカバーする指揮者とのアイコンタクトも十分で、互いに信頼し合った中にも緊張感溢れる素晴らしい演奏だった。

演奏が終わると万雷の拍手に応えるが、3度のカーテンコールに弾いたダン・タイ・ソン のアンコール曲は、ドビュッシー:前奏曲集第2巻 第12曲”花火”。
コンチェルトとは違いソロで弾く場合は、正に意のままにと言ってよいだろう。
一瞬でホール全体を印象派の世界にトリップさせてくれた。

興奮の余韻が、休憩でも醒めないままに後半の第7シンフォニーが演奏された。
センター真後ろに設置されたティンパニーの前には、透明なアクリル板の衝立がずらりt並び、その前にトランペット、ホルン奏者が並んでいる。
冒頭の一撃を聴いて納得したが、指揮者の要求なのかティンパニの音量が大きい。
この曲も随分快速な印象だが、オケは一糸乱れず付いていく。
まるで多頭立ての馬車がギャロップを揃えて疾走しているような快感を感じる。

ここでも2楽章が印象的に演奏され、緩急の対比が見事。
チェロ、ヴィオラが奏でる主題が連綿と引き継がれ、強弱を繰り返しながら徐々に高みに上っていき、そして再び収束に向かっていく。
終楽章も見事なアンサンブルを保持し、ベートーヴェンの対位法を余すことなく表現したオケの皆に対して、演奏終了と同時にブラヴォーコールの嵐となり、定期演奏会では稀なアンコール曲にロッシーニ:アルジェのイタリア女 序曲を演奏して、今回の定期演奏会は幕を閉じた。
P1010477

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