生演奏に不満を感じるとは?
先日の兵庫県立芸術文化センターで聴いたPACオケの定期演奏会のこと。
ヨーロッパ各地のオペラハウスに続々とデビューして高い評価を得ている、新進気鋭の若手指揮者ルスティオーニさんが、若手演奏家のPACオケから、どのような音楽を引き出してくれるのか楽しみでした。
先ずはロッシーニの歌劇「泥棒かささぎ」序曲。
冒頭からピシッと線の通ったアンサンブルが聞こえて来ます。
弦の音色が甘く暖かみを帯びていてPACが一皮剥けて成長したようです。
今シーズンの管楽器群はレベルが高くて、特にホルン、フルートが素晴らしいのですが、今回はチェロトップの女性奏者の頑張りが目立ちます。
このレベルなら卒業する頃には、希望のオケに就職が決まるのではないでしょうか?
アカデミーオーケストラを聴き続けている身としては、シーズン終盤になって成長した団員を見つけると嬉しくなります。
しかし、2曲目に登場したVn奏者の川久保賜紀さんが少々?期待外れ?というか、弾いたコルンゴルトのVnコンチェルトの、ややオーバーサプライズ気味のロマンチックさを求められる曲想を、淡々と禁欲的に弾かれては、聴く側からすれば欲求不満が溜まります。
指揮者のルスティオーニさんは、イタリア人らしく?情熱的、官能的、退廃的なロマンチックさを表現しようとしているのですが、若くて初心?なPAC団員はVn独奏に呼応して、いまひとつ奔放さが足りません。
ドボルザークの交響曲第8番では、東欧ボヘミアの民族性を存分に感じさせる躍動感溢れる好演で、聴衆から大喝采を浴びただけに、コルンゴルトのコンチェルトだけがVn独奏者のミスマッチの感が拭えません。
ムターさん程の妖艶さは無理でしょうけれど?
自宅に帰って、ベルリンフィルデジタルコンサートホールから、ギルシャハムが弾いたコルンゴルトを聴きました。
喉に詰まったものが一気に抜けていくような、素晴らしい演奏です。
https://www.digitalconcerthall.com/ja/concert/22385
生演奏に不満を感じるとは?
それだけオーディオ再生の満足度が上がっている証しでしょうね。
下手な演奏を聴くなら自宅でベルリンフィルデジタルコンサートホールを視聴する方が満足度が高いのも考えものではありますが。
| 固定リンク
コメント
残念な演奏会でしたね。川久保さんは、フィリアでベートーヴェンのヴァイオリンソナタを二年続けて観ました。去年の方が良かったです。
今のunicorn+SD05の音に勝てる、演奏会はそうはありませんね。ベルリンフィルの演奏会を観る機会が増えそうです。
投稿: GRF | 2016/06/22 21:22