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2016/07/18

2台のShigeru-Kawai SK-EXを聴いて

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7月に、兵庫県立芸術文化センターの大ホールと小ホールで、違う演奏家であるが、日本のピアノメーカーカワイのコンサート・グランド・ピアノ Shigeru-Kawai SK-EXを聴く機会があったので、そこで感じた印象を日記に残すことにした。

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7月2日の兵庫県立芸術文化センター大ホールで、ミハイル・プレトニョフのピアノ・リサイタル。
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7月16日の兵庫県立文化センター小ホールで、アレクサンデル・ガジェヴのピアノ・リサイタル。

きっかけは、GRFさんから現代最高のピアニストの一人であり、ロシア・ピアニズムの継承者として、是非聴いていただきたいというやり取りからであった。
また、近年はピアニストの活動を休止して指揮者として活躍していたが、KAWAIのピアノに出会ってからピアニストとしても活動を再開したという話にも興味が沸いていた。

世界の名だたるピアニストは、ほぼ例外なくスタインウエイを弾く。
稀にピアノコンクールで、YAMAHAやKAWAIが選ばれることはあっても、スタインウエイが絶大な支持を受けている事実があり、演奏会はもちろんのこと、録音メディアにおいてもピアノの音すなわちスタインウエイの音である。

さて、今回リサイタルが開かれた兵庫県立文化センターには2000人収容の大ホールと400人収容の小ホールがある。
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大ホールは、オペラやバレエ公演にも対応したピット付きの大空間と、無垢の木材を多用した音響も素晴らしい。

小ホールは、ステージを取り囲むすり鉢状のアリーナ形式が特徴で、ステージの奏者がとても近くに感じられる。

プレトニョフは1957年生まれで小生より2歳違いでほぼ同年代のピアニストである。
彼が気に入ったShigeru-Kawai SK-EXとはいったいどんな音なのか?

演奏曲目はJ.S.バッハ:前奏曲とフーガ BWV543、グリーグ:ピアノ・ソナタ op.7、グリーグ:ノルウェー民謡による変奏曲形式のバラード op.24、モーツァルト:ピアノ・ソナタ K.311、モーツァルト:ピアノ・ソナタ K.457、モーツァルト:ピアノ・ソナタ K.533 。アンコール曲はリスト:愛の夢。
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コンサートの感動をGRFさんに送ったメールがある。

いやはや、素晴らしい演奏会でした。 カワイのコンサートグランドピアノ SK-EX 「SHIGERU KAWAI」 からはブリリアントな輝きからビロードの柔らかさまで変幻自在。休憩を挟んでたっぷり2時間半楽しんできました。

 バッハ(リスト編)の前奏曲とフーガイ短調に始まり、グリーグのソナタホ短調、ノルウェー民謡による変奏曲形式のバラード、後半はモーツァルトのソナタ第9ニ長調、第14ハ短調、最後にヘ長調K.533/494というもの。すべてのフレーズに意味があり、一音一音に魂が宿っていました。

沢山の演奏会や録音で慣れ親しんできたスタインウエイの金属的で硬質な響きとは違う、木のフレームのような暖かな響きがホールを満たしていく。
決してフォーカスの緩んだようなボケた音ではない。
当たり前のことだがピアノも弦を張っているフレームは金属だが、ボデイや響板は木材でできている。

スタインウエイはフレームに張られた金属弦の響きが響板を通して放射される割合が高いのだろうか?
カワイの音は、金属弦の直接音ではなく、あくまで響板から発せられる音がホールを満たしている感じがする。

プレトニョフの演奏スタイルは、ゆったりと音楽に身を委ねていくので、聴いている方もとてもリラックスして音楽の世界に没入できる。
一音一音が考え抜かれたものであり、聴けば、ああ、そうでなければならない、と得心のいくものであった。
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さて、7月16日には、昨年の浜松国際ピアノ・コンクールで優勝して注目を浴びている、若干二十歳のイタリア人ピアニスト、アレクサンデル・ガジェヴを小ホールのかぶりつきで聴いてきた。
コンクールを機会に各地の演奏会でもカワイのピアノを使い続けているようだが、これはコンクール優勝者に与えられたコンサートツアーの一環である関係があるのか?

演奏曲目はベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調、ショパン:ピアノ・ソナタ 第2番「葬送」変ロ短調、ラフマニノフ:絵画的練習曲「音の絵」op.39-2,3,5、ドビュッシー:12の練習曲 第11番「組み合わされたアルペッジョのための」、リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調 。アンコールは3曲、ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女、プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ 第7番より 第3楽章、モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第3番より 第3楽章

ガジェヴの演奏スタイルは若さに任せる奔放なものではなく、考え抜かれたち密さを感じさせる知的な演奏スタイルである。
それでもリストでは、天才ピアニストであったリストが自作自演したらこんな演奏だったろう、と十分に納得できる素晴らしいものであった。
力強く鍵盤を叩いても、決して金属的な悲鳴を上げないShigeru-Kawai SK-EXの良さを十二分に活かした演奏であった。

今回は2週間の間に大ホールと小ホールでピアノリサイタルを聴いたのだが、大ホールの大空間で聴くピアノも良いが、小ホールのサロン的な演奏家の息遣いまでが、それこそ眼前で繰り広げられるスリリングな演奏会の良さを再認識した。

しかしながら演奏家の人気が高まるにつれて、400名の小ホールでは興業的に合わなくなって大ホールでしか聴く機会がなくなってしまうのは残念である。

ガジェブの優勝者ツアーは、明日7月19日には紀尾井ホールでも開催されるそうだが、さてどんな評価を受けるのだろうか?

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コメント

GRFさん
そうですね。
プレトニョフをPAC小ホールで聴こうとしたら1万円位のチケットになると思いますが、それは素晴らしい演奏会になるのではと、期待していますが、プレトニョフ自身がサロン的なコンサートを望むのかわかりませんしまず無理でしょうね。

投稿: 椀方 | 2016/07/19 12:46

大ホールと小ホールの音の差がよくわかりました。出来れば、プレトニョフも小ホールで聞いてみたいという事でしょうか?しかし、大ホールも木の造りですが、小ホールも考えられたホールですね。やはり一度ご一緒したいです。明日の紀尾井は、無理すればいけるかも知れませんが・・・

投稿: GRF | 2016/07/18 23:00

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