ジャン・ロンドー チェンバロリサイタル(PAC小ホール)
東京文化会館小ホールでの休憩なしで、バッハ ゴールドベルク変奏曲の全曲演奏会をNHK-FMで聴いて感銘を受けて以来気になっていたアーティストのジャン・ロンドーがPAC小ホールにやって来ました。
長髪を丁髷に結いあげタップリの顎髭を蓄えた細身で長身のロンドー氏は、もの静かでまるで哲学者か宗教家のよう。
使用楽器は2000年にオランダで製作されたミートケモデルで、「ヤン・カルスペーク」と命名された楽器。
今回の来日ではもう一台「ブルースケネディ」という1997年製の楽器も持ち込んで、札幌のキタラ小ホールで使ったとのこと。
演奏が始まると、微細なチェンバロの響きが小ホールに広がり、ピアノに比べればとても小さな音量なのにとても心に響く演奏に感銘を受けます。
今回のリサイタルも休憩無しで2時間近く演奏を続け、曲間に起こる拍手さえ遮って、ジャン・ロンドーの音楽世界を構築していました。
曲目はバッハとスカルラッティの曲を交互に並べたもので、最後には、あのバッハの名曲「シャコンヌ」をブラームスが鍵盤楽器用に編曲したものが演奏されました。
普段バイオリンで聴いているこの曲がチェンバロで演奏されると、とても明晰に楽曲の構成が理解できます。
2時間近く、一気呵成に演奏された後の充足感は、緻密に組み立てられたフルコースを堪能したかのようです。
万雷の拍手に応えてアンコール曲も2曲のサービスぶり。
ジャン・ロンドーのチェンバロの世界、堪能させていただきました。
プログラム
<J.S.バッハ>
プレリュード(リュート組曲 ハ短調 BWV997より)
ファンタジア ハ短調 BWV906
<D.スカルラッティ>
ソナタ ハ長調 K.132
ソナタ イ短調 K.175
ソナタ イ長調 K.208
ソナタ ニ長調 K.119
<J.S.バッハ>
アダージョ(協奏曲 ニ短調 BWV974より)
<D.スカルラッティ>
ソナタ ヘ長調 K.6
ソナタ ヘ短調 K.481
<J.S.バッハ>
イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971
シャコンヌ(無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004より)
<アルコール曲>
フランソワ・クープラン:神秘的なバリケード
ジャン・フィリップ・ラモー:組曲 イ短調より「3つの手」
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