PSD社の磁気フローティングボード
今年のお盆前にPSD社にオーダーメイドした磁気フローティングボード内蔵のオーディオラックを導入して以来、磁気フローティングボードのパイオニアメーカーであるイタリアSAP社のRelaxa2+とこのPSD社が製作した磁気フローティングボードの比較をしたことは以前日記にしました。
その時の感想と考察は『音の広がりが増して発音がより明瞭になり、ともすれば混濁したように聞こえる場面もある低音域の明瞭さが際立ったようです。
もちろん、文章で書くとRlaxa2+に載せている時とは雲泥の差のように捉えられるかも知れませんが決してそうではなく、比較すればそういう印象であるということですが、この違いを聞いてしまうと元に戻すと不満が残るほどの差であることは事実です。
では同じ磁気フローティング機構なのに何がこの違いを生んでいるのでしょうか?
一つは、磁気フローティング機構を産む磁石についてはPSD社が使用している磁石がより強力なものであること。
もう一つは、ボードの材質がRelaxa2+が脚部、フローティングボード共に樹脂製なのに対して、PSD社のは鋼管フレームに固定された厚い積層合板の下部とその上に浮かぶボードも厚みのある積層合板に突板仕上げであることで、樹脂と木材という素材の差が大きいのでは?と推察しますね?』というものでした。
その後オーディオで音楽を聞く度に機器のスイッチ類を触った時に機器が揺れるのを見ていると両者の違いが見えてきました。
それは、Relaxa2+では機器の上下動の振幅が小さく揺れも直ぐに収まるのに対しPSD社製のは振幅が大きくしかも揺れの収まり方がゆっくりしているという違いです。
車に例えればRelaxa2+が普通のエアサスペンションならPSD社のはハイドロサスペンションのシトロエンのよう。
下から伝播してくる振動を柔らかくいなしてドライバーに不快な振動を与えないように機器への振動の伝播を上手く減衰させているからだと思い至りました。
PSD社に製作をお願いした磁気フローティングボードの条件は、現在SD05を載せているRelaxa2+の置き換えとするのでサイズは投影サイズがRelaxa2+とほぼ同じ、ボード面の高さはSD05を載せた状態で最大70〜75ミリ以内とコンパクトに収めること、とやや制約の厳しいものでした。
試作検討の結果出来上がったサイズは(SD059が乗った状態で)W×D×H=480×450×85ということで、ボードのフレームに堅牢な鋼材が使用されることとフローティングボードの積層合板突板仕様も剛性を保つため厚さを削るわけにはいかないということで、高さが希望よりも5〜10ミリ高くなるということでした。
それでも、今までGRF邸の重量級真空管アンプ用に製作されたボードに比べるととてもコンパクトに出来上がっています。
ボードの高さが当初条件よりも高くなったことでSD05の背面にあるテレビ画面に干渉するのを解消するためにテレビ台の下に5.5ミリ厚合板を敷いて嵩上げしました。
そして先日クリスマスの日に待望のPSD社製磁気フローティングボードが到着しました。
オーディオラックが木目を活かしたクリア塗装と交換フレームがブラック塗装なのにカラーコーディネートされたブラック塗装されていますが、とても似合います。
水準器を使ってベースのフレームが水平にガタ無く設置されるように四隅にあるアジャスター付き足を調節してから上部にフローティングボードを載せ、更にSD05を載せて全てのケーブル類を取り付けた状態で水平になるようSD05のボード面に置く位置を調整します。
Relaxa2+はオーディオラック下段のデジタルFMチューナーを載せました。
SD05の足元がPSD社製磁気フローティングボードに変わったことで出音が想像以上に変わりました。
以前比較試聴した時はオーディオラック中段に内蔵された磁気フローティングボードだったので上段のボードに囲まれた位置だったのが、上段では周囲の影響が少ない環境になることもあるでしょう。
何が変わったのか?
それは低音部の基音が確かになり量感も格段に拡大したうえにアンビエンス成分も豊かになり音場が形成される深さが今までよりも拡大しました。
この感覚、印象はどの音源でも同様に感じることが出来ます。
今までフルレンジユニットのユニコーンでは再生が苦手だったパイプオルガンの低音も難なく再生するのに感激しています。
勿論フルオーケストラのコントラバスからエンドピンを伝わりステージを覆う低音も!
何を聴いても新鮮というクリスマスプレゼントのような音楽体験はまだまだ続いています。
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コメント
GRFさん、色々とご尽力ありがとうございました。
昨年の今頃は移住に向けて家財の整理と梱包に追われていたのが、ついこの前のように思えます。
でもこの1年の環境変化は激変と言っても過言ではないですね。
これも羅針盤となり得るGRFさんの実験成果の賜物だと感謝しています。
本当に今は何を聞き直しても楽しい!
投稿: 椀方 | 2022/12/29 13:09
椀方さんの厳しい注文に応えるべく、大山さんは随分と苦労されました(笑)。フレームやベースの部分の剛性を落とさず、コンパクト化するのが大変だった様です。家はラックの色と同じに仕上げてもらいましたが、高さも結構大きくなりました。今回は、合板にフレームを埋め込む方法で、強度を保ちながらコンパクト化に成功した様です。
今後はこのタイプが標準になるそうです。椀方さんの厳しいご要望が、商品開発にもつながった様ですね。
真空管アンプなら、磁気フローティングの効果は分かりやすいのですが、SD05の様なアンプでもあれほどの効果があるのが不思議です。オーディオ装置では、常にその部屋の共振音が乗っているのですね。
今年の冬に引っ越しされてほぼ一年、二重窓も、壁のタイルも、ラックも、そして今回のフローティングボードと、確実な進歩を遂げられましたね。
新しいお正月は、今までの膨大な録音ストックを楽しんでください!
投稿: GRF | 2022/12/29 12:13