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2025/03/06

デジタルFMチューナー (Conclusion C-FT50) アップグレード後の音質向上(その2)

前回からの続きです。

FM放送の音質が良くなったと感じる理由には、もう一つ理由がありました。

それは、既に「セラミックツィーターの本領発揮」という題の日記にも書きましたが、Accuton社の30ミリ径セラミックツィーターに合わせるフイルムコンデンサーを、より高圧に耐えるタイプに交換して音質向上を果たしたことです。

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セラミックツィーター導入当初から、GRFさんの先行実験の成果を取り入れながら追いかけるように追試を行っていて、それは、PARC Audio製が400V、SOLEN製が600Vで1.5倍、Jantszen Audio製が800Vで2倍になので、より耐圧の高いデンマークJantzen Audio製の0.68μF 800V耐圧のSilver Z-Capタイプのフィルムコンデンサーを、ユニコーンに合わせるツイーターに使用したところ、音質が圧倒的に良くなったのです。

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これには、ツィーターへのスピーカーケーブル配線をバイワイヤリングの基本通りに配線し直したことや、スピーカーケーブル自体を6ミリ径のGerman Physiks純正指定銀メッキケーブルに変更したことなどの要因も有るとは思います。

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FM放送は勿論のこと、BSや地デジで放送され録画していた音楽番組の音質も、ベルリンフィルやYouTubeなどのストリーミング配信の音質も、聴く音源全ての音質が向上して聞こえる様になったのですから、2012年12月にユニコーンを迎え入れて以来待ち望んでいた素晴らしい体験ができる様になったのです。

しかし最近になり、NHK-FMで放送されたコンサートを96/24でエアチェックした音源と、同じコンサートをテレビで録画した音源とを聞き比べる機会があった時、改めて気付いたことは、FM放送の方がテレビ録画の音よりも良いということでした。

この音源はFMチューナーのアップグレード後にエアチェックしたものでしたので、前回の日記にも書いたとおり、FMチューナーの受信レベルが今まで66〜67dbだったのが僅かですが2db程向上したことも併せ、FPGA基盤の交換に際してマルチパスノイズキャンセル機能の実装以外にも、音質の向上に繋がるような改良が施されているのでは?という疑問に答えを求めたい、という欲求が強くなりました。

そこで、(株)ConclusionのWebサイトのお問い合わせフォームから、アップグレード後に上述のような音質向上を感じているが、それはプラシーボなのか?それとも何か技術的な改良が加えられているのか?という趣旨の質問をさせていただきました。

すると、数日のうちに技術担当者の方から詳細な回答を測定データグラフと共にいただきましたので、改めて、個人名等を伏せる加工をした回答文を日記に掲載する許可をいただきました。

Conclusion 技術 よりお答えさせていただきます。

弊社の FPGA 方式の FM チューナーをご愛用いただきましてありがとうございます。
この度は C-FT50 アップグレードサービスをご利用いただき、「音質面で以前より鮮度感が向上し、体感上のダイナミックレンジも拡大」とのご感想をいただき、大変うれしく思います。

弊社の FPGA 方式の FM チューナー・シリーズでは、最初の製品である C-FT50 からすでに「ダイレクト・サンプリング方式」という、最新のデジタル信号処理方式の受信機 (SDR:Software Defined Radio とも呼びます) として設計されています。

このダイレクト・サンプリングという方式は、アンテナで取り込んだ FM 帯の放送電波を、アナログ回路の周波数変換回路によって一旦、低い周波数 (10.7MHz や24.576MHz といった中間周波数と呼ばれる周波数)に変換して処理するのではなく、放送電波の周波数(東京の NHK-FM であれば 82.5MHz) のまま、高速な A-D コンバータを用いてデジタル信号に変換し、A-D コンバータ以降の信号処理は、すべて、FPGA 上の高精度なデジタル信号数値処理として行われる方式です。

オーディオ機器への接続を、デジタル出力をそのままデジタルアンプに入力し再生、あるいは、デジタル・エアチェックをされるのであれば、余分な A-D/D-A 変換作業を一切含まない、理想的な信号伝送・記録を行うことができることになります。
このダイレクト・サンプリング方式は、アップグレード前の C-FT50 においてもすでに採用されていた方式ですので、今回の音質の変化に直接関与しているわけではありません。

今回のアップグレードでは、いままで使用していた、ロジックのサイズ (ロジックゲート数) が 8 千ゲート相当の FPGA から 2 万 5 千ゲート相当の最新 FPGA へ交換する作業を行っています。
使用可能なロジックゲートの数が約 3 倍に増えたことから、以前の 8 千ゲートだけでは到底実装することができなかった MPC (マルチパス・キャンセラー) を搭載することができました。
すでにマルチパスが十分に小さく抑制できている環境では、MPC を使用することによる恩恵はありません。
しかしながら、MPC 以外の主要な信号処理回路につきましても、使用可能な回路サイズが飛躍的に大きくなっておりますので、信号の処理精度を高めるために多くのロジックゲートを費やすことが可能になりました。

今回のアップグレード作業におきましては、MPC 以外の信号処理ブロックに関しては、そのほとんどを一から設計し直し、より最適な多ビット幅の採用、信号の丸め方法 (ビット幅を変化させて信号を接続する際に必須の作業) の見直し、さらに、フィルター特性の見直しと特性近似の精度の向上、係数のビット数増、といった種々の改良を加えてあります。

これらの改良による特性の変化につき、代表的な例を添付の資料 にてお示しいたします。

1 ページに示しているのは、周波数特性の改善の様子です。
もともとの C-FT50 におきましても、きわめて平坦な周波数特性を誇っておりました。
しかし、特性を拡大いたしますと、わずかな「さざ波様」の振れが存在しておりましたが、フィルター係数のデータ数、ビット数が増大したことで、より、周波数特性の平坦度が上がっていることがご覧いただけると思います。

2 ページ目に示したものは、セパレーション (分離度) の特性です。
こちらはもともとの C-FT50 でも限界に近い (測定結果が「漏洩」ではなく、ノイズレベルによって制約される) 状況であったため、改善の余地はわずかであり、大きな変化は認められません。

3 ページに示すのは「RF 信号入力対復調出力の SN 比」のグラフです。
このグラフは本来、FM 変復調の理論から完全な、45 度右上がりの「直線」の形を保っていることが重要であり、その直線部分の位置がなるべく上方、あるいは、左側に位置することが、同じ RF 信号レベルであっても SN 比が高い (=ノイズが少ない) ことを意味しますので、すなわち「感度が高い」ということになります。

今回、FPGA 基板を交換するにあたり、FPGA 基板を搭載するマザー基板側にも銅板を使用する強固な GND 接続を追加、低 ESR のセラミック・コンデンサの投入、等々の改造を実施しており、この「RF 信号入力対復調出力の SN 比のグラフ」の直線性の向上、飽和 SN 比の数値の増大といった、感度面での改良を見ていただけると思います。

このような測定可能な特性の向上が音質面に直接、明確な改善を与えるとは限りませんが、開発者としましては、お感じになられた「アップグレードによって音質が良くなった」というご感想は、決してプラシーボ効果ではないものと信じる次第です。

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以上の詳細な回答をいただいたので、私の感じていたことがあながちプラシーボだとは言い切れず、MPC実装を目的としたアップグレードサービスを受けたことにより、FPGA回路規模が8kから25kにと3倍以上に拡大され、併せてマザー基板の改良が施されたことが要因だと言えると思います。

MPC機能の実装のみならず、FM電波を音楽信号に復調するロジックがより緻密で理想に近づくようなプログラムが実装された、等々の改良が音質面での明らかな改善がみられるという感想を裏付けることになり、これは提供された測定値のグラフでも、周波数特性の改善やS/Nの改善に現れていますね。

最後になりますが、今回10年前に購入した初期タイプのデジタルFMチューナーが、最新のFPGA基板への交換というアップグレードサービスを受けることで、文字通り現在最高レベルの音質を持つFMチューナーに生まれ変わったことは、FM放送を高音質で楽しみたいと願っている私にとって望外のプレゼントになりました。
全ての従来型FMチューナーで音楽を楽しんでいるユーザーは、是非このデジタルFMチューナーの高音質を体感して欲しいです。
かつて全盛期があったエアチェックがデジタルFMチューナーによって、高音質で再び楽しめるようになったのは嬉しい限りですね。

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