指揮者オッテンザマーがPACオーケストラ第163回定期演奏会に鮮烈デビュー
10月3連休の中日、兵庫県立芸術文化センター大ホールで開催されたPACオケの定期演奏会に、初めて自家用車で日帰りツアーを敢行しました。
コンサート終了後に間に合う帰途に利用していた高速バスが、運転手不足などの影響で運行が無くなったためやむを得ない事ですが、片道300Km以上4時間半の運転は辛いです。
それでも頑張って行こうと考えた訳は、長らくベルリンフィルの首席クラリネット奏者を務めていたアンドレアス・オッテンザマー氏が、今年2月に退団して指揮者としての活動を本格化させており、今回のPACオケ定期演奏会でも指揮者デビューするからでした。
しかも、バイオリン独奏にヴェロニカ・エーベルレさんを迎えたプログラムは、メンデルスゾーン作曲:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調に、シューベルト作曲:交響曲 第8番「ザ・グレイト」という、数ある名曲の中でも好きなプログラムですから。
当日は3連休中日ということもあり、関西エリアの道路混雑で遅れが出ても間に合うよう、いつもより早く起床して朝食を済ませ朝7時前には出発しました。
心配していた道路状況は中国自動車道の宝塚インターを降りるまで順調で、午前中の道路混雑は郊外に向かう逆方向だったのが幸いしたようです。
宝塚に住む友人宅に立ち寄って届け物を渡した後、近所にある和食レストランで昼食を済ませたら、阪急電車西宮北口駅南側にある兵庫県立芸術文化センターに向かい、ホール地下にある駐車場に停車しました。
ホール地下駐車場は通路も駐車スペースも狭くて、アウディ車だとA4、A5がギリギリでA6サイズだと駐車してもドアを開けて乗り降りが辛そうです。
ホール周囲にも大型車が止められるコイン駐車場が何箇所かあるのですが都会故に20分200円と高額なため、ホール地下は1時間400円と安いうえにコンサートやレストラン利用者は4時間以内は料金半額なのが嬉しいですね。
コンサートの最初は、バイオリン独奏にエーベルレさんを迎えたメンデルスゾーン作曲のヴァイオリン協奏曲 ホ短調です。
彼女はドイツに生まれ6歳からバイオリンを始め、16歳の時にサイモン・ラトルに抜擢され、2006年のザルツブルク音楽祭でベルリン・フィルと共演した才能の持ち主で、カラヤンに見出されたムターを彷彿させます。
現在の楽器はドイツの音楽財団から貸与されている1693年製ストラディバリウス「リース」を使用しています。
長身のオッテンザマーが2段重ねの高い指揮台に立つと、オーケストラを頭上から見おろすほどです。
PACオケのメンバーを見ると、木管、金管パートはメンバーの殆どが入れ替わったようで、見知った顔の走者はOBが招聘さていました。
演奏が始まると、聴き慣れたメンデルスゾーンのコンチェルトとは一味違うややゆったりめのテンポにオヤ?っと。
出だしの独奏バイオリンは艶があり、強弱の限界を試すかのようなダイナミックさと、完璧な技術に裏打ちされた気品あふれる美しい音色が印象的でした。
オッテンザマー氏の指揮はテンポの取り方に独特のタメがあり、ウインナワルツやポルカを彷彿とさせるような揺らぎは、生粋のウィーンっ子として音楽一家で育った彼の身体に染み込んでいる「ウィーン訛り」を、ごく自然に表現しているように思えます。
バイオリン独奏をオケがサポートするというより、少しだけ前に出て独奏者と渡りあうようなスリリングさも感じさせ、全楽章が切れ目なく演奏されるコンチェルトの特長を活かしたように急緩急のテンポ展開が見事で、特に最後のクライマックスに向かい、全く破綻することもなく加速していくバイオリンの疾走感が素晴らしかったです。
万雷の拍手とカーテンコールに、アンコールとして演奏されたのは、メンデルスゾーンの演奏会用小品 ヘ短調Op.113から第2楽章アンダンテがエーベルレさんのバイオリンとオッテンザマーさんのクラリネットの二重奏にオーケストラの伴奏でした。
このアンコールはウィーン訛り満開の自在なテンポ変化が素敵な演奏でした。
メインとして演奏されたシューベルト作曲のグレートシンフォニーは50分を超える演奏時間でしたが、その長さを感じさせないスリリングなものでした。
このグレイトシンフォニーはシューベルトの死後にメンデルスゾーンの指揮によって初演されたといい、ウィーンで活躍した2人の曲をウィーン生まれのオッテンザマーが指揮するというプログラムです。
メンバー一新となった木管パートはまずまず無難な演奏技量を見せてくれましたし、ホルンパートには更なる成長を期待したいですが、圧巻の演奏を披露してくれたのはトロンボーン3本とトランペット2本!
5本の金管が荘厳に輝く和音を、ホール一杯に響かせるようオッテンザマーの指揮が求め、それに見事に応えていました。
このグレイトシンフォニーでもオッテンザマーの解釈の肝は「ウィーン訛り」のテンポのタメと揺らぎのように感じました。
同じリズムと主題副題のメロディが形を整えて延々と続くけれども、スコアを捲る毎に何かしらタメの一瞬が現れるので退屈することがありません。
終楽章のクライマックスはそれまでの快速演奏からグッとテンポを落とし、まるで舞台上で大見得を切るような終わり方に、フラヴォーの連呼が掛けられていました。
アンコール曲は同じくシューベルト作曲の「キプロスの女王ロザムンデ」より間奏曲の第3番 変ロ長調が演奏されました。
グレイトシンフォニーを聴いて熱った身体をクールダウンするかのような清冽な演奏を聴いて満足です。
演奏終了後ホールから出て一路宝塚インターを目指すと、休日の市内は混雑していて30分近く掛かりましたが、高速道路に入ると夕方に郊外へ出る方向は混雑もなく、市内に向かって渋滞が続く反対車線を横目に見ながら快調に走行して、定刻通りに無事帰着。
翌日の福山市までのコンサート日帰りに備えてガソリンを給油したら、過去最高の燃費を記録しました。
高速道路上の夜間走行では前車との速度差や車間距離が掴みにくくなるのですが、アクセル、ブレーキを自動運転に任せられるおかげで追突の心配もなく、安心して走れるのはありがたいです。
満タン後の走行可能距離は970Kmでしたから、あと5Lもガソリンタンクが大きければな?とアウディに乗り換えていつも思います。
さて!明日は福山市で京都市交響楽団の「オーケストラ福山定期」を聴きます。
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コメント
GRFさん、新しい才能に出逢えとても充実した演奏会でした。
エーベルレさんの存在は、このコンサートまで知りませんでしたが、聴衆を魅了する素晴らしいテクニックに加えて、甘く輝くコクのある音色に参りましたよ。
東京で聴く機会あれば是非!!
オッテンザマー氏にとってPACオケは指揮者としての技量を高める格好の練習相手であり、自身の表現力が素直に出せる教材だと思います。
欧米の歴史あるオケだとこんなに素直に言うこと聞かないでしょうし?
次回にオッテンザマー氏が指揮で登場する回だけは聴きたいです。
投稿: 椀方 | 2025/10/15 08:55
充実した日でしたね。椀方さんの音楽の感想としては一番熱いです!演奏が良かったのか、350キロの運転が気持ちを高揚したのか、両方でしょう。オッテンザマーはベルリンフィル の首席をやめても、指揮者になりたかったのですね。その彼の中を、生まれ育ったウイーンの血は身体の中を流れているのでしょう。
投稿: GRF | 2025/10/14 21:41