音楽

2023/10/05

ショスタコーヴィッチの交響曲を聴いて

ショスタコーヴィッチはロシアが旧ソビエト連邦の独裁政治体制下、多くの芸術家が反体制だとして粛清された中を生き残り、15曲の交響曲をはじめ多くの楽曲を残した20世紀を代表する作曲家のひとりです。

芸術と政治とは別モノですが、時の権力者が芸術家を自らの正統性(正当性)や権威を、民衆に知らしめる為利用したことも多々あることは周知の事実です。

先の第二次世界大戦の際も多くの芸術家が時の国家体制の下、自ら生き残る為に所謂プロパガンダに協力した結果、その国家体制が崩壊した国々では旧来の体制への協力者という烙印と追放を受けました。

その後時を経て名誉回復を遂げた芸術家も居ますがそのまま消え去った芸術家も沢山居るに違いありません。

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何故こんな記事を書いているかというと、最近ショスタコーヴィッチの交響曲や室内楽曲を頻繁に耳にすることが増えたと感じているからです。

最近でも、ベルリンフィルの定期演奏会で交響曲第4番が演奏されましたし、NHK-FMではクラシック番組でショスタコーヴィッチの交響曲を含む海外オーケストラの演奏会を5回シリーズで放送しています。

それ等の演奏会は全て今年2023年に開催されたものばかりです。

 

昨年2021年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降ロシアの国家権力が批判を浴び、その体制派だと目された芸術家が数多く追放されたのを目の当たりにしました。

人々の見るロシアという国家体制は自由主義国家ではなくまるで旧ソビエト連邦時代に逆戻りしたかのような独裁国家であり、それに迎合する芸術家は追放しなければならない、というのは先の第二次世界大戦当時のことがあるからでしょう。

日本においても多くのロシア芸術家の公演がキャンセルされ、芸術家たちはウクライナ侵攻への体制批判を明らかにしない限り公の芸術表現が出来ない状況下になりました。

昨年春に実際にあったことですが、ショスタコーヴィッチの交響曲第7番レニングラードを演奏するにあたり、演奏会開始前に指揮者が聴衆に対して、昨今の世界情勢からこの曲を何故取り上げて演奏することに批判もあると思うが、数年前から演奏曲目のプログラムを組んで準備してきたオーケストラの定期演奏会シリーズであるから純粋に芸術として受け止めて欲しい、と胸の内を吐露していました。

それから1年が経ち何が変わったのでしょうか?

当時のヒステリックな反応が収まったから体制迎合でも構わない?

いやいや、そんなことはなく相変わらず追放された芸術家はそのまま復帰も叶わないままですよね?

では、何故ショスタコーヴィッチが?

交響曲第7番レニングラードだけは別扱いかも知れませんが、他の楽曲は多くのオーケストラや芸術家達が取り上げ聴衆達もその演奏に賛辞のはくしゆを惜しまない光景が日常になっています。

先の第二次世界大戦当時と違い現代の情報化社会では芸術をプロパガンダに利用する価値が薄れているからなのか?

つまり、「演奏しない」という価値が薄れていて「聴きたい」という価値が重みを増してきた結果なのか?

軽々に結論を導き出すことは出来ませんがこの先は追放された芸術家達がどうなっていくのかをしっかり見ていくことが大切ですね。

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2023/04/08

兵庫芸術文化センター(PAC)オーケストラの来シーズンチケット購入しました。

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オーディオの方はテレビパネルへの防振対策パネルカバーの結果に満足して日々音楽を聴いています。

ベルリンフィルのデジタルコンサートホールやNDRエルプフィル、フランクフルト放響などを大画面テレビで視聴する際はパネルカバーを取り外すのですが、こちらの方は視覚からの情報があるので特に不満もなく楽しめています。

オーディオで聴く音楽は地方都市に移住しても都会と遜色ない環境だと思いますが、コンサート会場で聴くオーケストラや室内楽はまた格別のライブならではの楽しみがあるので、こればかりは都会のコンサート事情には敵いません。

移住前の大阪時代から通い続けている兵庫県立芸術文化センターに所属しているPACオケの定期演奏会シーズンチケットも通い始めて10年以上が経ちます。

毎年1/3のメンバーがオーディションで入れ替わるアカデミーオーケストラなので9月の新シーズンが始まると新しいメンバーを観るのが楽しみですし、毎回違う顔ぶれで指導を兼ねて客演する指揮者やゲストトッププレーヤー達がオケのサウンドを作り上げた結果を聴くのもコンサートの大きな楽しみになっています。

本日4月8日はそんな来シーズンのシーズン9回の定期演奏会通し券の先行発売日でしたので、ネットで頑張ってチケットを確保出来ました。

A席4千円が9回同じ座席で聞いて27千円なので1回あたり3千円になるのもお得感がありますし、定期演奏会ならではのプログラム構成でなかなか演奏を聞く機会のない曲に知り合えるのも楽しみです。

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2023/02/21

ハイドン・ベートーベン・シューベルト、PACオケで聴くウィーンの息吹

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兵庫芸術文化センター管弦楽団の第139回定期演奏会は、18世紀末から19世紀初めにウィーンで活躍した3人の作曲家の作品がとりあけられました。

それは、ハイドンのコンチェルトグロッソ風のニ長調第6交響曲、ベートーベンの堂々としたハ短調第3ピアノコンチェルト、シューベルトの天国的に壮大なハ長調第8(9)交響曲という、古典派からロマン派の幕開けまでを綴る小編成から徐々に編成を拡大した変化に富むプログラムでした。

指揮者は東京交響楽団の桂冠指揮者ユベール・スダーンさん、ピアノ独奏は児玉麻里さん。

スダーンさんの指揮による東京交響楽団の演奏は東京単身赴任時代にミューザ川崎シンフォニーホールの演奏会で幾度となく聞いてました。

一方、児玉麻里さんは妹が児玉桃さんであること、夫が指揮者のケント・ナガノさんであるということを知っているだけで演奏を聞くのは初めてです。

冒頭のハイドンニ長調交響曲第6番はチェンバロが入り、逆にクラリネットと金管が含まれない極小編成で、各楽器のトップ奏者が次々と独奏の技を披露する合奏協奏曲の趣があります。

なお、ティンパニが全曲通して小ぶりのバロックタイプのが使われていたのは指揮者の意図が垣間見えます。

ハイドンの交響曲はどの曲をとっても様式が整っていて聞きやすいのですが、この第6番は様々な楽器が交互に独奏を「聞かせどころ」としているので聞いていてとても楽しい曲でした。

弦楽部の独奏はそれぞれがプロオーケストラからのゲストトッププレーヤーでしたが、木管のトップはPACオケのメンバー。

それぞれが様々な演奏経験を積んで音楽家として成長するためのプログラムの一環としてこの曲の選曲理由があると思いましたが、純粋に合奏協奏曲として聞いて楽しい選曲でした。

2曲目のベートーベンピアノ協奏曲第3番の準備のため、一旦楽員が退場した後にチェンバロを運び去りスタインウェイのコンサートグランドピアノが運び込まれました。

奏者の数も増えて金管のトランペットも入ります。

ひな壇は最後列は空けたまま、その1段手前の列に左手端からバロックティンパニ、トランペット2本、クラリネット2本、ファゴット2本、そしてホルン2本が右端に並んでいます。

ベルが後ろを向いているホルンを右端に置くとステージ後方中央の壁面で音が反射することを意図しているのでしょう。

ピアノ独奏の児玉麻里さんは長身で手足が長く、指揮者のスダーンさんより背高にみえます。

演奏も骨格がしっかりしたベートーベンの世界。

強烈なアタックも力任せな粗野な音は一切させず、まるで大理石を石鎚で撃つような硬質な輝くような響きです。

それでいて細やかなトレモロなどまるで蜂鳥が羽ばたきホバリングしているかのように軽やかに聞こえます。

合奏部分からカデンツァになると一層極まり緩急自在に勇壮な世界観を繰り広げてエンディングに向かってもなお疲れを見せないタフさを感じさせてくれました。

児玉麻里さんの演奏を今回初めて聴いたのですがとても素晴らしかったです。

鳴り止まない拍手とカーテンコールに応えてアンコールにはベートーベンの佳作「エリーゼのために」を弾いてくれました。

休憩後のシューベルト交響曲第8(9)番は「ザ・グレイト」と後に名付けられたとおり、シューベルトを代表する交響曲で、生前には何故か演奏されることもなく忘れられていた楽譜を後にシューマンが発見してメンデルスゾーンの指揮で初演されたということです。

オーケストラ編成はベートーベンのピアノ協奏曲の編成のままにトロンボーンを加えた2管編成で、ステージの最上段中央の普通ならティンパニが位置する場所にトロンボーン2本とバストロンボーンの3人が並んでいます。

これもスダーンさんの意図だと解ったのは演奏が始まって間もなく。

この曲の特徴はトロンボーン、それもバストロンボーンが重要な音やリズムを加えるようになっていますが、それを最上段中央に位置させることでより明瞭に音を響かせられるよう意図された配置なのでした。

コントラバスも最低音部でリズムを取り曲を推進させていく重要な役目を担っていることを指揮者が明確に意図し、オケに指示を与えているのが判ります。

天国的に長いと言われていますが長くて退屈なことは全くなく、逆にいつまでも続いていって欲しいと思わせるこの交響曲。

50分を少し超える演奏時間でしたが全く退屈することなく堪能することができました。

演奏が終わると万雷の拍手が送られ、満足そうにそれぞれのパートを立たせていましたが、最大の拍手がバストロンボーン奏者に送られたのがこの演奏会の成功を物語っているようでした。

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2023/02/18

ファウスト&メルニコフのベートーヴェン・ヴァイオリンソナタ聞き比べ

先日のFM放送では昨年5月24日にドイツのシュベチンゲン音楽祭で演奏されたイザベル・ファウストとアレキサンドル…メルニコフのデュオによるベートーヴェンVnソナタ第4番ー第5番 春、第10番が放送されたので、エアチェックしました。

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ファウスト&メルニコフのデュオは以前から沢山の演奏会や録音を行っていて、このベートーヴェンVnソナタも全曲録音のアルバムを10年程前に手に入れて聞いていました。

2人ともソロでの活動で目覚ましい活躍をしていますが、ファウストさんはモダン奏法ピリオド奏法ともに卓越した演奏を聞かせてくれますし、かたやメルニコフさんも現代ピアノから歴史的フォルテピアノまで数多くのピアノを所有し楽曲にあわせて使い分け弾きこなすことでも有名。

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そんな2人が10年前に残したモダン奏法と現代ピアノでの演奏と、昨年シュベチンゲン音楽祭で披露したピリオド奏法とフォルテピアノでの演奏ではどのような違いがあるのか?

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非常に興味を持って聞き比べすることにしました。

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演奏された3曲のうち第5番 春をアルバムとエアチェック音源と比較すると、当然ながら各楽章毎の演奏時間に差が出てきていますが、曲全体を通してみると楽章毎の時間配分には大きな差異はありません。

実際に聞き比べてみてもテンポ速度感に大きな差を感じません。

いちばん大きな違いはなんといっても奏法とピアノの違いによる響きです。

ファウストさんの演奏はピリオド奏法を取り入れながらも弦と弓はモダンなもののように感じますがメルニコフさんの弾くフォルテピアノの音色は明らかに現代ピアノとは違う柔らかなものです。

ピアノの左手の響きはやや暗めの音色ですが、ベートーヴェンがこのソナタを作曲した当時に頭の中で響いていたのはこのような響きなのでしょう。

10年前の演奏と比べると先祖返りした演奏という訳でもなく、奏法と楽器を作曲当時に近づけたことでベートーヴェンが曲に込めた想いをより身近に感じよう、という積極さが感じられます。

これは、ヘ長調の春に限らず、イ短調の第4番、ト長調の第10番でも同様。

モダン楽器をピリオド奏法で弾くVnソナタをこれだけ自在に弾きこなす奏者としてファウストさん以外にはパトリシア・コパチンスカヤさん位しか思い浮かびません。

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2022/12/28

PSD社の磁気フローティングボード

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今年のお盆前にPSD社にオーダーメイドした磁気フローティングボード内蔵のオーディオラックを導入して以来、磁気フローティングボードのパイオニアメーカーであるイタリアSAP社のRelaxa2+とこのPSD社が製作した磁気フローティングボードの比較をしたことは以前日記にしました

その時の感想と考察は『音の広がりが増して発音がより明瞭になり、ともすれば混濁したように聞こえる場面もある低音域の明瞭さが際立ったようです。

もちろん、文章で書くとRlaxa2+に載せている時とは雲泥の差のように捉えられるかも知れませんが決してそうではなく、比較すればそういう印象であるということですが、この違いを聞いてしまうと元に戻すと不満が残るほどの差であることは事実です。

では同じ磁気フローティング機構なのに何がこの違いを生んでいるのでしょうか?

一つは、磁気フローティング機構を産む磁石についてはPSD社が使用している磁石がより強力なものであること。

もう一つは、ボードの材質がRelaxa2+が脚部、フローティングボード共に樹脂製なのに対して、PSD社のは鋼管フレームに固定された厚い積層合板の下部とその上に浮かぶボードも厚みのある積層合板に突板仕上げであることで、樹脂と木材という素材の差が大きいのでは?と推察しますね?』というものでした。

その後オーディオで音楽を聞く度に機器のスイッチ類を触った時に機器が揺れるのを見ていると両者の違いが見えてきました。

それは、Relaxa2+では機器の上下動の振幅が小さく揺れも直ぐに収まるのに対しPSD社製のは振幅が大きくしかも揺れの収まり方がゆっくりしているという違いです。

車に例えればRelaxa2+が普通のエアサスペンションならPSD社のはハイドロサスペンションのシトロエンのよう。

下から伝播してくる振動を柔らかくいなしてドライバーに不快な振動を与えないように機器への振動の伝播を上手く減衰させているからだと思い至りました。

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PSD社に製作をお願いした磁気フローティングボードの条件は、現在SD05を載せているRelaxa2+の置き換えとするのでサイズは投影サイズがRelaxa2+とほぼ同じ、ボード面の高さはSD05を載せた状態で最大70〜75ミリ以内とコンパクトに収めること、とやや制約の厳しいものでした。

試作検討の結果出来上がったサイズは(SD059が乗った状態で)W×D×H=480×450×85ということで、ボードのフレームに堅牢な鋼材が使用されることとフローティングボードの積層合板突板仕様も剛性を保つため厚さを削るわけにはいかないということで、高さが希望よりも5〜10ミリ高くなるということでした。

それでも、今までGRF邸の重量級真空管アンプ用に製作されたボードに比べるととてもコンパクトに出来上がっています。

ボードの高さが当初条件よりも高くなったことでSD05の背面にあるテレビ画面に干渉するのを解消するためにテレビ台の下に5.5ミリ厚合板を敷いて嵩上げしました。

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そして先日クリスマスの日に待望のPSD社製磁気フローティングボードが到着しました。

オーディオラックが木目を活かしたクリア塗装と交換フレームがブラック塗装なのにカラーコーディネートされたブラック塗装されていますが、とても似合います。

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水準器を使ってベースのフレームが水平にガタ無く設置されるように四隅にあるアジャスター付き足を調節してから上部にフローティングボードを載せ、更にSD05を載せて全てのケーブル類を取り付けた状態で水平になるようSD05のボード面に置く位置を調整します。

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Relaxa2+はオーディオラック下段のデジタルFMチューナーを載せました。

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SD05の足元がPSD社製磁気フローティングボードに変わったことで出音が想像以上に変わりました。

以前比較試聴した時はオーディオラック中段に内蔵された磁気フローティングボードだったので上段のボードに囲まれた位置だったのが、上段では周囲の影響が少ない環境になることもあるでしょう。

何が変わったのか?

それは低音部の基音が確かになり量感も格段に拡大したうえにアンビエンス成分も豊かになり音場が形成される深さが今までよりも拡大しました。

この感覚、印象はどの音源でも同様に感じることが出来ます。

今までフルレンジユニットのユニコーンでは再生が苦手だったパイプオルガンの低音も難なく再生するのに感激しています。

勿論フルオーケストラのコントラバスからエンドピンを伝わりステージを覆う低音も!

何を聴いても新鮮というクリスマスプレゼントのような音楽体験はまだまだ続いています。

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2022/09/12

YouTubeで新たなライブ音源発見(その2)

先日記事にしたYouTubeで広告に邪魔されることなく曲を通しで視聴出来るライブ音源探しですが、ミュンヘンを本拠地にするバイエルン放送交響楽団の音源を紹介するBRKlassikに、今年3月8日にミュンヘンのイザールフィルハーモニーで開催されたミュンヘンフィルハーモニーオーケストラを主体に、バイエルン放送交響楽団、バイエルン国立歌劇場管弦楽団のメンバーを加えた合同オーケストラによる、ウクライナ連帯のチャリティコンサートの一部始終が通しで配信されているのを見つけました。

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ミュンヘンフィルハーモニーはロシアによるウクライナ侵攻に対して常任指揮者だったゲルギエフが反対の意志を示さなかったことから解任した後に、このチャリティコンサートを開催したのですが、ウクライナ連帯にはバイオリニストのムター氏も積極的に関与していて、このコンサートでもベートーベンのVnコンチェルトを弾いています。

主催者によるチャリティコンサートの意義を表すスピーチも含めて2時間もの長さが有りますが、画質音質共に優秀ですし、何より歴史的なチャリティコンサートの記録としてもみて損はないと思い紹介させていただきました。

なお、BRKlassik内には、他にもバイエルン放送交響楽団の前の常任指揮者マリスヤンソンスの名演なども視聴出来ます。

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2022/07/31

ヘルベルト・ブロムシュテットさんのドキュメンタリー

今年で御年95歳になるブロムシュテットさんのドキュメンタリー「音楽が奏でられるとき 魂は揺さぶられる」をBS録画していたので視聴しました。

音楽を人生をとても自然体で語っていたのが印象的でしたね。永久保存版にしたいところですがHDD録画なのでTVが変わると見られなくなるのが残念です。

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2022/04/18

第132回PACオケ定演 オール プロコフィエフ プログラム

3回目のワクチン接種の効果があるうちにと、今年はじめてPAC定期を聴いてきました。

昨年末以降のコンサートはすべて移住のバタバタとオミクロン株の蔓延で行くのを諦めて、関西在住の友人に代わりに聴きに行って貰っていたのです。
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昨年9月にメンバーの入替があり半年が経ったPACオケのサウンドはかつてないほど分厚く重厚な響きに変化して好ましく感じました。

今まではどちらかというと管楽器パートのレベルが優っていましたが、今は弦楽器それもビオラやチェロ、コントラバスのレベルアップが目覚しく今後が楽しみです。

今回の指揮者は2024年に引退することを宣言している井上道義氏、ヴァイオリン独奏は、若くして著名なコンクールで数々の賞を取っている話題の服部百音さんで、プロコフィエフのVnコンチェルト第1番と交響曲第7番の2曲です。

今回の演奏プログラムは昨年春には予め決まっていたのですが、旧のロシア帝国時代に今のウクライナ東部で生まれた作曲家プロコフィエフの曲目だけというのは何かしら運命を感じます。

服部百音さんはとても小柄で華奢な身体ですが演奏中の表情は何かに挑むような厳しい目つきで何処かを見つめているよう。
プロコフィエフのVnコンチェルトは本人がいちばん弾いてみたかった曲だったとのことですが、フラジオレット奏法を多用した難解複雑な曲をアッサリ弾き切ったテクニカルな凄さとどこかでポキッと折れそうな危うさを見せたのです。
ところがアンコールで弾いたプロコフィエフの「3つのオレンジへの恋」からの行進曲では、行進しながら弾いたり指揮者のパントマイムに絡んだりとお茶目な面も見せたりして、流石に若くして海外の著名なコンクールに多数挑戦しただけの胆力も持っているのだと安心しました。

メインの交響曲第7番は第1番の古典交響曲に続いて有名な交響曲ですが、実演を聞くのは初めてでした。
何処かしらバレエ音楽と言われたらそうとも思えるような特徴的なリズムと緩急や明暗の唐突な切り替わり、時折効果的に使われるグロッケンシュピーゲルやシロフォンなど多数の打楽器群の響きは、誰が聞いてもコレがプロコフィエフの作品だとわかるもの。

プロコフィエフの楽曲はウクライナだとかロシアだとかの民族的アイデンティティを超えたモノに感じます。
同時代のロシアというかソビエト連邦の作曲家ショスタコーヴィッチの作風にも相互に影響受けているようにも思えたりしますが、それが20世紀の初めから激動の時代に生きた作曲家の世界観かもしれません。

ここで驚いたのはPACオケのサウンドがとても分厚く重厚に変化していたことです。
特に骨格を成す低弦楽器群の充実した響きが底辺を支えているのでメロディ楽器や打楽器が散りばめる音がとても光り輝いてるように感じました。

アンコールではプロコフィエフの交響曲第1番から第3第4楽章が演奏されて、2時間に渡るコンサートがお開きになりました。

アカデミーオーケストラとしてロシア出身のメンバーも居るので苦労もしているのでしょうが、オケのメンバーが一体となった演奏を通じて会場内を一体感で満たしてくれる音楽の強さを感じたひとときでした。

コンサートの後は久しぶりに梅田に出て友人と会食のひととき。
90分制限で追い出されるので結局2軒梯子してしまいました。

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2021/02/07

モーツァルトの魔笛

ユニコーン調整の旅は続いていますが、いつもトントンコツコツやっている訳ではなく、よく鳴り出したことでアーカイブ音源を聴き直したりして新たな発見など嬉しい思いをしています。
この体験はオーディオの音が改善された時には誰もが経験されているのでは?

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最近はこれ!といった手を伸ばすような新譜が見当たらなかったのですが、久々に気になったアルバムを手に入れました。
それがこの、オペラ「魔笛」全曲版。
新譜と言いましたが、実は1978年にBarclayというレーベルでLP盤が発売されていたものを、この度DECCAレーベルからCD2枚組で発売されたものです。

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とにかく出演キャストが豪華です。
Kiri Te Kanawa (Pamina), Peter Hofmann (Tamino), Edita Gruberova (Königin der Nacht), Kurt Moll (Sarastro), Kathleen Battle (Papagena), Philippe Huttenlocher (Papageno), Norbert Orth (Monostatos), Helena Döse, Ann Murray, Naoko Shara (Damen), Orchestre Philharmonique de Strasbourg, Alain Lombard
転載しますがビックリ、オーケストラこそストラスブールと地味ですが、パミーナ役がキリ・テ・カナワ、タミーノ役がホフマン、夜の女王役がグルベローヴァ、パパゲーナ役がキャスリーン・バトルなどなど、、、録音当時は若手だったのですが今や世界中で評価の高いOpera界のスター達がよくこれだけ揃ったものです。

当時特に話題になったようでもないのは、矢張りレーベルが地味だから日本では売れなかったのでしょうか?
今回、手に入れようとしても日本のサイトでは在庫切れになっていたので、イギリスのサイトPresto Classicalでの購入です。

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録音は公演ライブではなくセッション形式のようで、Opera公演のような演者の歩く足音などは聞こえず歌唱が明瞭に聞こえ、オケは歌手達のバックにやや距離を置いてピットに入っているようです。
兎に角歌手達の声が素晴らしく2枚通しで聞けば49トラック2時間32分もの大曲ですが、トラックごとの歌手名と歌詞がリーフレットに詳細あるので理解しやすく楽しめます。

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世の中は緊急事態宣言延長でステイホームの中、ひさびさにOpera三昧楽しんでいます。

 

=======2021年5月19日訂正=======

LP盤発売年が1987年ではなく1978年の誤りでは?とのご指摘がありました。

単なるタイプミスだったようです。

本文中にていせいを加えました。

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2020/08/02

マリス・ヤンソンスの最後の演奏会?LiveをFMで聴きました。

先週のNHK FMのベストオブクラシックでは、バイエルン放送交響楽団の2019~2020シーズンの演奏会の模様を放送していました。

コロナウイルス対策でコンサートが軒並み中止になっていますのが、バイエルン放送交響楽団の演奏Liveは、初日の月曜日に2020年3月7日のが放送されました。
この演奏会の指揮はアンドレス・オロスコ・エストラーダ、バイオリン独奏にアンネ・ゾフィー・ムターを迎えた素晴らしいものでした。

当然コロナウイルス感染拡大している中でのコンサートですから、充分な対策が取られた中、ある意味非常事態下でのコンサートだった訳ですが、ムターの弾くベートーベンのコンチェルトは、それこそムターの人生を全て投影したような思い入れタップリのカデンツァの表現に現れていたのが感動ものでした。

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その最終日、金曜夜に放送されたのが2019年10月11日に常任指揮者マリス・ヤンソンスの演奏会です。
ヤンソンスはその後11月29日の公演も予定されていましたが、体調不良を理由にラハフ・シャニが代役を務めましたが、その翌日11月30日にこの世を去っています。

10月11日の公演はソプラノにサラ・ウェグナーを迎えたリヒャルト・シュトラウスの歌曲とブラームスの4番が演奏されました。
ウェグナーさんの歌唱も素晴らしかったですが伴奏を務めるバイエルン放送交響楽団の優雅な演奏も特筆もの。

それ以上だったのがブラームスの交響曲第4番の演奏でした。
演奏時間43分を超えるゆったりとしたテンポの演奏で、よくある追い立てるようなアップテンポの演奏とは違いますが、緊張と弛緩が適度で間延びしたような退屈さとは無縁。
よく職人技と言われるヤンソンスの指揮ですが、職人も技を究めれば人間国宝になる見本なんでしょう。

久しくエアチェックする触手が動かない時期が続いていましたが、今回のバイエルン放送交響楽団の演奏会シリーズは久々に聞き応えのあるものでした。

バイエルン放送交響楽団の公式サイトには、演奏会の映像もアーカイブされているのを発見したので、映像付きで楽しむこともたまには良いかも知れませんね。

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