音楽

2022/04/18

第132回PACオケ定演 オール プロコフィエフ プログラム

3回目のワクチン接種の効果があるうちにと、今年はじめてPAC定期を聴いてきました。

昨年末以降のコンサートはすべて移住のバタバタとオミクロン株の蔓延で行くのを諦めて、関西在住の友人に代わりに聴きに行って貰っていたのです。
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昨年9月にメンバーの入替があり半年が経ったPACオケのサウンドはかつてないほど分厚く重厚な響きに変化して好ましく感じました。

今まではどちらかというと管楽器パートのレベルが優っていましたが、今は弦楽器それもビオラやチェロ、コントラバスのレベルアップが目覚しく今後が楽しみです。

今回の指揮者は2024年に引退することを宣言している井上道義氏、ヴァイオリン独奏は、若くして著名なコンクールで数々の賞を取っている話題の服部百音さんで、プロコフィエフのVnコンチェルト第1番と交響曲第7番の2曲です。

今回の演奏プログラムは昨年春には予め決まっていたのですが、旧のロシア帝国時代に今のウクライナ東部で生まれた作曲家プロコフィエフの曲目だけというのは何かしら運命を感じます。

服部百音さんはとても小柄で華奢な身体ですが演奏中の表情は何かに挑むような厳しい目つきで何処かを見つめているよう。
プロコフィエフのVnコンチェルトは本人がいちばん弾いてみたかった曲だったとのことですが、フラジオレット奏法を多用した難解複雑な曲をアッサリ弾き切ったテクニカルな凄さとどこかでポキッと折れそうな危うさを見せたのです。
ところがアンコールで弾いたプロコフィエフの「3つのオレンジへの恋」からの行進曲では、行進しながら弾いたり指揮者のパントマイムに絡んだりとお茶目な面も見せたりして、流石に若くして海外の著名なコンクールに多数挑戦しただけの胆力も持っているのだと安心しました。

メインの交響曲第7番は第1番の古典交響曲に続いて有名な交響曲ですが、実演を聞くのは初めてでした。
何処かしらバレエ音楽と言われたらそうとも思えるような特徴的なリズムと緩急や明暗の唐突な切り替わり、時折効果的に使われるグロッケンシュピーゲルやシロフォンなど多数の打楽器群の響きは、誰が聞いてもコレがプロコフィエフの作品だとわかるもの。

プロコフィエフの楽曲はウクライナだとかロシアだとかの民族的アイデンティティを超えたモノに感じます。
同時代のロシアというかソビエト連邦の作曲家ショスタコーヴィッチの作風にも相互に影響受けているようにも思えたりしますが、それが20世紀の初めから激動の時代に生きた作曲家の世界観かもしれません。

ここで驚いたのはPACオケのサウンドがとても分厚く重厚に変化していたことです。
特に骨格を成す低弦楽器群の充実した響きが底辺を支えているのでメロディ楽器や打楽器が散りばめる音がとても光り輝いてるように感じました。

アンコールではプロコフィエフの交響曲第1番から第3第4楽章が演奏されて、2時間に渡るコンサートがお開きになりました。

アカデミーオーケストラとしてロシア出身のメンバーも居るので苦労もしているのでしょうが、オケのメンバーが一体となった演奏を通じて会場内を一体感で満たしてくれる音楽の強さを感じたひとときでした。

コンサートの後は久しぶりに梅田に出て友人と会食のひととき。
90分制限で追い出されるので結局2軒梯子してしまいました。

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2021/02/07

モーツァルトの魔笛

ユニコーン調整の旅は続いていますが、いつもトントンコツコツやっている訳ではなく、よく鳴り出したことでアーカイブ音源を聴き直したりして新たな発見など嬉しい思いをしています。
この体験はオーディオの音が改善された時には誰もが経験されているのでは?

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最近はこれ!といった手を伸ばすような新譜が見当たらなかったのですが、久々に気になったアルバムを手に入れました。
それがこの、オペラ「魔笛」全曲版。
新譜と言いましたが、実は1978年にBarclayというレーベルでLP盤が発売されていたものを、この度DECCAレーベルからCD2枚組で発売されたものです。

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とにかく出演キャストが豪華です。
Kiri Te Kanawa (Pamina), Peter Hofmann (Tamino), Edita Gruberova (Königin der Nacht), Kurt Moll (Sarastro), Kathleen Battle (Papagena), Philippe Huttenlocher (Papageno), Norbert Orth (Monostatos), Helena Döse, Ann Murray, Naoko Shara (Damen), Orchestre Philharmonique de Strasbourg, Alain Lombard
転載しますがビックリ、オーケストラこそストラスブールと地味ですが、パミーナ役がキリ・テ・カナワ、タミーノ役がホフマン、夜の女王役がグルベローヴァ、パパゲーナ役がキャスリーン・バトルなどなど、、、録音当時は若手だったのですが今や世界中で評価の高いOpera界のスター達がよくこれだけ揃ったものです。

当時特に話題になったようでもないのは、矢張りレーベルが地味だから日本では売れなかったのでしょうか?
今回、手に入れようとしても日本のサイトでは在庫切れになっていたので、イギリスのサイトPresto Classicalでの購入です。

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録音は公演ライブではなくセッション形式のようで、Opera公演のような演者の歩く足音などは聞こえず歌唱が明瞭に聞こえ、オケは歌手達のバックにやや距離を置いてピットに入っているようです。
兎に角歌手達の声が素晴らしく2枚通しで聞けば49トラック2時間32分もの大曲ですが、トラックごとの歌手名と歌詞がリーフレットに詳細あるので理解しやすく楽しめます。

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世の中は緊急事態宣言延長でステイホームの中、ひさびさにOpera三昧楽しんでいます。

 

=======2021年5月19日訂正=======

LP盤発売年が1987年ではなく1978年の誤りでは?とのご指摘がありました。

単なるタイプミスだったようです。

本文中にていせいを加えました。

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2020/08/02

マリス・ヤンソンスの最後の演奏会?LiveをFMで聴きました。

先週のNHK FMのベストオブクラシックでは、バイエルン放送交響楽団の2019~2020シーズンの演奏会の模様を放送していました。

コロナウイルス対策でコンサートが軒並み中止になっていますのが、バイエルン放送交響楽団の演奏Liveは、初日の月曜日に2020年3月7日のが放送されました。
この演奏会の指揮はアンドレス・オロスコ・エストラーダ、バイオリン独奏にアンネ・ゾフィー・ムターを迎えた素晴らしいものでした。

当然コロナウイルス感染拡大している中でのコンサートですから、充分な対策が取られた中、ある意味非常事態下でのコンサートだった訳ですが、ムターの弾くベートーベンのコンチェルトは、それこそムターの人生を全て投影したような思い入れタップリのカデンツァの表現に現れていたのが感動ものでした。

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その最終日、金曜夜に放送されたのが2019年10月11日に常任指揮者マリス・ヤンソンスの演奏会です。
ヤンソンスはその後11月29日の公演も予定されていましたが、体調不良を理由にラハフ・シャニが代役を務めましたが、その翌日11月30日にこの世を去っています。

10月11日の公演はソプラノにサラ・ウェグナーを迎えたリヒャルト・シュトラウスの歌曲とブラームスの4番が演奏されました。
ウェグナーさんの歌唱も素晴らしかったですが伴奏を務めるバイエルン放送交響楽団の優雅な演奏も特筆もの。

それ以上だったのがブラームスの交響曲第4番の演奏でした。
演奏時間43分を超えるゆったりとしたテンポの演奏で、よくある追い立てるようなアップテンポの演奏とは違いますが、緊張と弛緩が適度で間延びしたような退屈さとは無縁。
よく職人技と言われるヤンソンスの指揮ですが、職人も技を究めれば人間国宝になる見本なんでしょう。

久しくエアチェックする触手が動かない時期が続いていましたが、今回のバイエルン放送交響楽団の演奏会シリーズは久々に聞き応えのあるものでした。

バイエルン放送交響楽団の公式サイトには、演奏会の映像もアーカイブされているのを発見したので、映像付きで楽しむこともたまには良いかも知れませんね。

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2020/02/11

FMで聴くベートーベンのピアノソナタ


今年は楽聖と言われたベートーベンの生誕250年。

時を経ても色褪せることもなく、今尚、時代を画する新進気鋭な若々しさを感じ取れます。

今夜はFMから流れるベートーベンのピアノソナタ第30番、31番、32番を聴いています。
演奏はスティーヴン・オズボーン。
昨年11月のトッパンホールでのリサイタルですが、つい、引き込まれてしまう演奏です。

コレもエアチェックしてアーカイブの仲間入りですね。


次回の日記→

 

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2020/01/19

ニ長調の絆

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毎年1月のPAC定期は、阪神淡路大震災からの復興事業としてこのホールとオケが創設された経緯もあって特別なプログラムが組まれてきた。
今年は震災から25周年そしてベートーベン生誕250周年ということで、メインはフォーレのレクイエム、口開けはベートーベンのバイオリンコンチェルトを作曲者自身の編曲によるピアノコンチェルトが演奏された。
いずれもニ長調で書かれており、苦難に打ち勝ち明るい未来の希望を予感させる曲想であるのが、共通しているのだろう。

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ゲストは、ピアノ独奏が菊池洋子、ソプラノが幸田浩子、バリトンがキュウ・ウォン・ハン、そしてゲスト・コンサートマスターがバイエルン放送交響楽団主席コンサートマスターのアントン・バラコフスキーという豪華布陣で臨まれた。

ソリストの皆さんは何度かPAC定期等に登場しているが、バラコフスキーさんがPACオケのゲストとして招かれたのは初めてではないだろうか?
この若いオーケストラメンバー達は、毎回招かれたゲストトッププレーヤー達の指導を受けて連続3回の公演に臨み、3回共に安定した演奏技量を示すというプロ演奏家としての訓練を受けながら成長していくのだが、今回のように世界のトップオーケストラで現役の主席コンサートマスターを務めているような大物が招聘に応じて指導にあたってくれるのはとても良い刺激になるのだろう。

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ベートーベンのバイオリンコンチェルト、ピアノコンチェルト版はベートーベン自身の編曲によるものだが、FM放送で聴いたことはあったが実演を聞くのは今回が初めてであった。

普段バイオリンコンチェルトとして聞き慣れた楽曲なので曲の進行は頭に入っているが、独奏楽器がバイオリンからピアノに置き換わるのに合わせた歯切れの良いオケの演奏も相まって、とても清々しく元気を貰える演奏であった。
コンサートマスターの力によるものか、弦楽器群の音の厚み、アインザッツの統一感が素晴らしく良く、バイオリンソロならそう気にならないピアノソロとのリズムの同調も良く、聴き手も安心して音楽に浸ることができた。

この曲の聞きどころは多く在るが、何と言っても1楽章最後のベートーベン自身の作曲になるカデンツァであろう。とても緻密に組み立てられた技巧的かつ雄大な世界観と、ティンパニとピアノが掛け合う斬新な試み等聞きどころ満載のカデンツァであった。

ピアニスト菊池さんのアンコール曲はリストの愛の夢。
静かで心に染み込むような秀演であった。

メインで演奏されたフォーレのレクイエムは7曲からなる第3版。
終始穏やかで気品に溢れた曲が並び、ソリストの幸田さん、バリトンのキュウさんの声質とオケやコーラスとの調和も素晴らしかった。

演奏が終わっても黙祷の様に長い静寂が続き、そして万雷の拍手。
震災に想いを馳せる特別な演奏会に会場全体が包まれた心に残る演奏会であった。

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2019/12/03

港町横浜から西宮北口へ「ジャン=ギアン・ケラス&アレクサンドル・タロー デュオ・リサイタル in PAC小ホール」を聴く

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11月30日の夜、横浜山下公園を間近に望むル・サロンで開催された「第4回 German Physiks 友の会」を堪能して、隣接するホテルモントレ横浜に投宿。

何時もなら、ライブを聴いて高揚した気持ちのまま、ホテルのバーでクールダウンするのですが、今回は翌日のコンサートに備えるべく、大人しく?シャワーで火照った身体をクールダウンさせて就寝したのです。

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翌朝は、ホテル自慢の最上階で食べるシェフが目の前で作るオムレツをいただくバイキングの朝食を堪能したら、山下公園前バス停から羽田空港に向かいました。

羽田空港から昼前の伊丹空港に降り立ち、モノレールと電車を乗り継いで西宮北口駅前にある兵庫県立芸術文化センターの小ホールに向かいます。

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予約していた席は、ステージ正面の前から2列目。

昨夜のライブで座った席

今日のコンサートは、フランス人のチェリスト、ジャン=ギアン・ケラスと、ピアニスト、アレクサンドル・タローのリサイタルです。

曲目は、前半が、ドビュッシー:チェロとピアノのためのソナタに始まり、ブラームス:チェロとピアノのためのソナタ第2番。

休憩を挟んだ後半は小品が続き、ショパン(ポッパー編):夜想曲op.9-2、フォーレ:「夢のあとに」「蝶々」、ポッパー:セレナードop.54-2、マズルカ ト短調op.11-3、ハイドン(ピアティゴルスキー編):デェヴェルティメント ニ長調Hob.XI-113より 第3楽章、クライスラー:「愛の悲しみ」「愛の喜び」迄を連続演奏され、最後のピースにケラス&タローのオリジナル編曲になるブラームス:ハンガリー舞曲 第1番、第4番、第11番、第2番、第14番、第5番が演奏されました。

ジャン=ギアン・ケラスが弾くチェロの音色は、甘さもあるがそれだけではない滋味深いと言うのでしょう。

ピアニストのアレクサンドル・タローとはほぼ同世代です。

最近は一緒に演奏する機会が多くなっているので、互いに信頼し合っているのがよくわかります。

鳴り止まぬ拍手と歓声に応えたアンコールは、プーランク:愛の小径、続いてシチェドリン:アルベニス風に、最後にもう1曲ヴェチェイ:悲しきワルツと、大サービスでした。

11月30日から12月1日の2日間に渡るイベント続きで少々疲れましたが、とても充実した2日間でした。

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2019/11/04

ジャン・ロンドー チェンバロリサイタル(PAC小ホール)

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東京文化会館小ホールでの休憩なしで、バッハ ゴールドベルク変奏曲の全曲演奏会をNHK-FMで聴いて感銘を受けて以来気になっていたアーティストのジャン・ロンドーがPAC小ホールにやって来ました。

長髪を丁髷に結いあげタップリの顎髭を蓄えた細身で長身のロンドー氏は、もの静かでまるで哲学者か宗教家のよう。

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使用楽器は2000年にオランダで製作されたミートケモデルで、「ヤン・カルスペーク」と命名された楽器。
今回の来日ではもう一台「ブルースケネディ」という1997年製の楽器も持ち込んで、札幌のキタラ小ホールで使ったとのこと。

演奏が始まると、微細なチェンバロの響きが小ホールに広がり、ピアノに比べればとても小さな音量なのにとても心に響く演奏に感銘を受けます。

今回のリサイタルも休憩無しで2時間近く演奏を続け、曲間に起こる拍手さえ遮って、ジャン・ロンドーの音楽世界を構築していました。
曲目はバッハとスカルラッティの曲を交互に並べたもので、最後には、あのバッハの名曲「シャコンヌ」をブラームスが鍵盤楽器用に編曲したものが演奏されました。
普段バイオリンで聴いているこの曲がチェンバロで演奏されると、とても明晰に楽曲の構成が理解できます。

2時間近く、一気呵成に演奏された後の充足感は、緻密に組み立てられたフルコースを堪能したかのようです。

万雷の拍手に応えてアンコール曲も2曲のサービスぶり。
ジャン・ロンドーのチェンバロの世界、堪能させていただきました。

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プログラム
<J.S.バッハ>
プレリュード(リュート組曲 ハ短調 BWV997より)
ファンタジア ハ短調 BWV906
<D.スカルラッティ>
ソナタ ハ長調 K.132
ソナタ イ短調 K.175
ソナタ イ長調 K.208
ソナタ ニ長調 K.119
<J.S.バッハ>
アダージョ(協奏曲 ニ短調 BWV974より)
<D.スカルラッティ>
ソナタ ヘ長調 K.6
ソナタ ヘ短調 K.481
<J.S.バッハ>
イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971
シャコンヌ(無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004より)
<アルコール曲>
フランソワ・クープラン:神秘的なバリケード
ジャン・フィリップ・ラモー:組曲 イ短調より「3つの手」

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2019/10/27

イリーナ・メジューエワさんのベートーベン ピアノソナタを聴く

昨日は、GRFさんの運転するCCで名古屋の中心部、栄にある宗次ホール初見参。
念願のメジューエワのリサイタルを聴く機会に預かりました。
タイトルは「ベートーベン生誕250年 特別企画、イリーナ・メジューエワ ベートーベン ピアノソナタ全32曲 リサイタルシリーズ」の第3回、第4回を昼、夜の2公演連続のリサイタルです。

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昨年チケット取っておきながら行き損ねた琵琶湖ホールのライブ録音を聞いて以降、益々実演を聴きたい音楽家になっていましたが、誘っていただいたGRFさんには感謝します。

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ベートーベンのソナタばかりを4曲並べた2時間余りのリサイタルを、3時間の間を空けて違うプログラムで続けて演るなんて、当初はトンデモナイプロジェクトだと思っていましたが、メジューエワさんは汗一つかかず?演ってのけました!

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しかも、五線譜に書かれたオタマジャクシの一つ一つを食い入る様に睨みつけながら、ベートーベンが五線譜に書き上げた音楽世界を、メジューエワさんを介して現代に再生するように感じ取りました。

違う視点でみれば、メジューエワさんの演奏には、奏者の私的な思い入れによる楽曲の解釈は余り感じられないので、個性的な演奏や意表をつく解釈を期待すると肩透かしを食らうかもしれません。

しかしながら、メジューエワさんの弾くベートーベンは、200年以上も前に作曲家が構想した音楽の革新性を十二分に伝えてくれましたし、1日で8曲ものソナタを完成度のムラなど微塵も感じさせずに弾ききるという驚異的な精神の集中力が聴衆に伝播して、とても補充した心地良い疲労感を味わいました。

惜しむらくは、宗次ホールの箱がやや小さくてピアノの音が飽和する場面があったことですが、ホールの運営がとてもアットホームな雰囲気で好感が持てました。
交通の便も良く、ホールから地下鉄東山線の栄駅までは徒歩で10分も掛からず、2駅先の名古屋駅で新幹線に乗車したのはホール前でGRFさんと別れてから35分後でしたので、21時30分迄に終演するリサイタルなら、東京からも十分日帰り可能なホールです。

室内楽中心のリサイタルが数多く開かれていますので、コレからも機会があれば聴きに行きたいと思いました。

GRFさん、お誘いいただきありがとうございました。

2019年10月25日 名古屋市 宗次ホール
イリーナ・メジューエワ ベートーベン ピアノソナタ全32曲リサイタルシリーズ
第3回 14時開演
ソナタ第9番ホ長調Op.14-1
ソナタ第3番ハ長調Op.2-3
ソナタ第11番変ロ長調Op.22
ソナタ第26番変ホ長調Op.81a「告別」

第4回 19時開演
ソナタ第4番変ホ長調Op.7
ソナタ第22番ヘ長調Op.54
ソナタ第16番ト長調Op.31-1
ソナタ第17番ニ短調Op.31-2「テンペスト」

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2019/09/13

2019~2020年音楽シーズン開幕!

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長く感じた今年の夏も漸く秋本番!?

小生にとり待ちに待った音楽シーズンが始まります。

 

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2019/03/03

ツィメルマンの弾くブラームスのピアノソナタ

昨日3月2日の夕方に兵庫県立芸術文化センター大ホールで開催された、クリスチャン・ツィメルマンのピアノ・リサイタルを聴いてきました。
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曲目はショパンのマズルカ、ブラームスのソナタ、休憩をはさんで再びショパンのスケルツォという構成でした。

ツィメルマンのショパンは多くの録音を残していますが、ブラームスはコンチェルトはあるものの、ソナタだと若い時代の録音はあるようですが既に廃版になっており手に入りにくくなっています。
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2千人収容の会場を埋め尽くした聴衆の大半はツィメルマンファンの模様で、開演前から異様な熱気で暑く感じるほど。

最初にョパンのマズルカが4曲通しで弾かれました。
最初は何かを探るように、どこかしらおずおずとした遠慮も感じられましたが、徐々にエンジンがかかってくると、ピアノの響きが会場の隅々までに放射されるように活き活きとした演奏に変化していきました。

輝く宝石のような音がピアノから立ち昇ってくるかと思えば、重層的な祈りの響き。
流石にショパン弾きで名を成したツィメルマンだけあって、手慣れた熟練の技を披歴してくれます。
そして、4曲弾き終わるとホッとした安堵の表情を浮かべ、はにかんだような微笑を浮かべながらステージから下がりました。

再び現れるまでファンの拍手が鳴り止みませんが、これは儀礼的なもの。

次に弾かれたブラームスのソナタ第2番が素晴らしかった!
まだ19歳の若きブラームスが作曲家として最初に書き上げたのがこのピアノソナタ第2番で、クララ・シューマンに献呈されたこの曲には、どこかしらベートーベンのソナタのような響きも聞こえてくるようです。

兎に角、情熱的であり、また内省的でもあり、若きブラームスが秘めた恋心をそのまま楽譜に書き写したかのよう。
ショパンのような装飾性に富んだ響きとは一味違いますが、とてもロマンティック。

いつしか、ツィメルマンのピアノと会場の響きが一体化して一つの楽器のように鳴り響き、シンクロナイズしたような一体感を感じるようになりました。

小ホールの室内楽ではこのような感覚はよく起きますが、大ホールでは滅多にないことで、ツィメルマンもこのシンクロナイズした感覚にスイッチが入ったようで、時おり微笑みを浮かべながら素晴らしい演奏を聴かせてくれました。

一音一音の響きが研ぎ澄まされていくと、普段の生活ではとても聞き取れないような微弱な音やハーモニーを聞き取ることができる。
そのような不思議な体験でした。

休憩後に演奏されたショパンのスケルツォは良く聞く曲目ですが、会場全体がシンクロした状態で聴く演奏を、どう表現していいかわからないほどです。

ツィメルマンもそのような会場との一体感がとても嬉しかったのでしょう。
万雷の拍手とブラボー、スタンディングオベーションに応えて投げキッスを返した後に、ブラームスのバラード集から3曲も演奏してくれました。

演奏会が跳ねた後の高揚した気持ちは何物にも代えがたい宝物になります。
今回のツィメルマン・ピアノリサイタルで、ブラームスのピアノソナタ集を手に入れたいものだと強く思いましたが、廃版故に程度の良い中古を探したいと思いました。
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(演奏曲目)
ショパン:マズルカ 第14番 ト短調 op.24-1
ショパン:マズルカ 第15番 ハ長調 op.24-2
ショパン:マズルカ 第16番 変イ長調 op.24-3
ショパン:マズルカ 第17番 変ロ短調 op.24-4

ブラームス:ピアノ・ソナタ 第2番 嬰ヘ短調 op.2
第1楽章:アレグロ・ノン・トロッポ、マ・エネルジーコ
第2楽章:アンダンテ・コン・エスプレッシオーネ
第3楽章:スケルツォ、アレグロ
第4楽章:ソステヌート

休憩

ショパン:スケルツォ 第1番 ロ短調 op.20
ショパン:スケルツォ 第2番 変ロ短調 op.31
ショパン:スケルツォ 第3番 嬰ハ短調 op.39
ショパン:スケルツォ 第4番 ホ長調 op.54

アンコール
ブラームスの4つのバラードから、第1曲、第2曲、第4曲

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