前回の続きです。
さて、届いたパーツを並べてみると、セラミックツィーターのペアが入ったケースの他には、PARK Audio製のフィルムコンデンサーのペアが4種と、中、小2種類の金メッキされたファストン端子と端子カバーのセットです。
フィルムコンデンサーは容量の小さいものから0.68μF、1.0μF、1.5μF、2.2μFです。
フルレンジのDDDユニットにアドオンでセラミックツィーターを追加するためには、どのクロスオーバー周波数で使用するか、ツィーターのインピーダンスが決まれば、次の公式により求めることが出来ます。
コンデンサー容量決定の為の計算式は「コンデンサ容量=159000/(クロスオーバー周波数×ツィーターのインピーダンス)」となります。
私の導入したセラミックツィーターのインピーダンスは6Ωですし、ユニコーンにアドオンする場合の好ましいクロスオーバー周波数は20kHzだとGRFさんからの先行実験結果があるので、この公式に当てはめると159000÷(20000×6)=1.325μFが計算で導かれました。
これが望ましいコンデンサー容量となりますが、現実にはピッタリ数値が同じコンデンサーは見当たらないので、各種容量のコンデンサーを組み合わせることで計算結果に近い容量を持つコンデンサーを幾つか用意し、後は試聴を繰り返すことで自分の好みに近いものを見つけ出す実験になります。
そこでコンデンサー容量の違いでクロスオーバー周波数がどうなるのかは、上記の計算式に基き「クロスオーバー周波数=159000/(ツィーターのインピーダンス×コンデンサー容量)」となります。
この計算式によれば、最初に届いた4種類のコンデンサーを6Ωのツィーターに繋いだ場合のクロスオーバー周波数は次のようになります。
0.68μFだと38.97≒39kHz、1.0μFだと26.5kHz、1.5μFだと17.67≒18kHz、2.2μFだと12kHzになります。
このクロスオーバー周波数をみて、私の追試からは両端の0.68μFと2.2μFは外してもよかろう?と言う判断にしましたが、残る1.0μFと1.5μFのでも好ましいクロスオーバー周波数からは少し外れているのが気がかりですが、オーディオは数値が絶対ではなく実際に鳴らしてみて聴感で判断することが大事だと思い、早速繋いでテストすることにしました。
十数年ぶりにハンダコテを握り締め老眼で霞む目を見開きながら、2種類2セットのコンデンサー両端に小さなファストン端子を固定する作業は、緊張しましたが不恰好ながらなんとか終了。
スピーカーケーブルはあまりに重くて硬いものだとセラミックツィーターが転げ落ちては大変なので、細くて軽くて柔らかいベルデン8460を通販サイトの切り売りで購入し、ユニコーンのネットワークボックスにYラグを使って並列接続してキャビネット上のツィーターユニットに繋ぎました。
Accuton社のセラミックツィーターには、パンチングメタルの前面保護カバーが付いていますが、外形は円筒状で接続用のファストン端子は剥き出しという形状なので、このままポン置きでは転がり易く不安定だと思い、手持ちに有ったバルサ板と檜材の三角棒で簡便なスタンドを製作しました。
さて、コンデンサー容量1.0μFのと1.5μFのとで試聴を繰り返しましたが、結論から言えば、1.0μFのクロスオーバー周波数26.5kHzでは物足りず、1.5μFの18kHzでは付加の効果有りあり過ぎて、ユニコーンのキャラクターをツィーターのキャラクターに置き換わったようになります。
1.5μFのコンデンサーを繋いで聞こえてくる音楽自体それは好ましく感じるところが沢山ありました。
それは、音の細密度表現力が一段と向上することで、楽器それぞれのキャラクターがしっかり聞き分けられるようになることです。
それに、高音域で歪みの感覚をほとんど感じないので音量が上がっても耳障りなことはなく、寧ろ静寂さをより感覚的に感じ取るようになります。
有機ELテレビのネット配信でベルリンフィルの2024〜25年シーズンの幕開けコンサートでペトレンコ指揮のブルックナー5番を視聴すると、ユニコーン単体を鳴らしていたときよりも更に画面の奥にホールの響きが拡散するようになり、また、ユニコーン単体と比較すれば照明の輝度を1段階以上も上げたかのような音の明瞭さと細密さが表現されるようになりました。
ただし、当初から感じたようにツィーター付加の効果が時に過剰に感じる場面もあるので、理論上最適な1.325μFに近似値となるコンデンサー容量を探すことにしました。
手持ちの0.68μFのを2個並列で繋げば0.68+0.68=1.36μFとなり、1.325との差は+0.035となります。
更にPARK Audioのサイトで手頃な容量のが無いか探すと0.33μFのが見つかったので、手持ちの1.0μFのを並列で繋げば1.0+0.33=1.33μFとなり、1.325μFとの差は+0.005μFとなります。
そこで、追試の第2段階としてこの2種類のコンデンサー容量を試聴することとしました。
通販サイトで購入したコンデンサーを並列接続して追試の準備は万端です。
追試にあわせてツィータースタンドも硬くて重い黒檀材で製作し直しました。
ユニコーンの綺麗な光沢を持つキャビネットに乗せても傷を付けないよう、底面には使い古したバッグから切り取った皮革を貼り付けています
そして追試の時がやってきました。
写真は0.68μFのを2個並列接続したもので、このフィルムコンデンサーはPARK Audioのスタンダード(黄色)の上位モデルで、スタンダードモデルとの違いは、2重ケースを使用したPARC独自の制振構造を採用しており、DDDユニットに近接している故に発生する外部からの振動への対策になるきたいから、更にリード線が金メッキ付き銅線なので金メッキのファストン端子との相性もより高いと考えた為です。
それでもコンデンサーの価格は海外のオーディオメーカー製に比べれば極めて安価であり、国産メーカーの安心感もあります。
0.33μFのは手持ちの1.0μFのスタンダード品と組み合わせるので同じ黄色ので統一しました。
試聴は、現在音楽鑑賞の主な手段となっている、有機ELテレビを使った音楽番組の録画やネット配信のコンサートをAV視聴する事に重きを置いています。
先に結論から言うと、1.36μFと1.33μFの両方共に1.5μFから繋ぎ変えると、やや明る過ぎだと感じたのが適度で自然な照度に下がり、それでいてユニコーン単体と比べると「音の再密度表現力が一段と向上することで、楽器それぞれのキャラクターがしっかり聞き分けられる」と言うセラミックツィーター付加の効果をはっきりと感じることが出来ます。
1.36μFと1.33μFとの差は私には聞き取れませんでしたので、ほぼ差は無いのでは?と感じたので、最終的に高品質なコンデンサーで製作した1.36μFの容量に決定、と結論つけました。
私は年齢と共に聴力が低下している上に右耳が低音感応型難聴を患っている為、オーディオで聞く音楽だと微細なニュアンスが聞き取り難いのを半ば諦めていましたが、このセラミックツィーターは近くに寄っても音が鳴っているとは感じられないのに、離れて聞くとユニコーン単体では聞き取り難くなるような距離でも、驚くほど明瞭に聞き取ることが出来ます。
それはまるで聴力が回復したかのような感覚であり、これには感動しました。
今回のGRFさんからの連絡を切っ掛けにして、先行実験を追試するかたちでセラミックツィーターを導入した訳ですが、年金生活者にも手が届くコストで今や高嶺の花になってしまったハイエンドスピーカーだけが持っている、最新の歪感の無いハイスピードな高音域を手に入れることがで出来て大満足です。
ユニコーンのDDDユニットに付加しても効果大という事は、往年の名機に付加すれば驚くような現代ハイエンドスピーカーに匹敵する音に変身する可能性を持っているのでは?と感じています。
今後はツィーターを向ける角度や前後の位置を微調整してスウィートスポットを探そうと思います。
GRFさん、色々ありがとうございました。
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